SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

黙秘犯

[著者:翔田寛/KADOKAWA]

 ひとつの事件の調査から次々に別の事件が発覚し、それらは最初の事件と無関係に見えながら、捜査が進む度に連鎖的に関連性を帯びて行き、やがて思いもしなかった真相を探り当てる、と言う展開。

 主に香山・相楽組と三宅・増岡組の交互の視点移動で話が進み、前半の捜査の段階からかなり目まぐるしく場所や状況に変化を見せ続けているのが本作の特徴。

 それぞれの事件や人物にどう繋がりがあるのかで興味を引き、後半で手掛かりが出揃った段階で一挙に畳みかける様子は、本当にパズルのピースが完成へと次々ハマって行く感じで見応えがありました。

 終盤で香山が被疑者への尋問で『落とす』展開がこのシリーズのお決まりとなるのかどうか、ともかく冷静沈着で鮮やかにクズな真犯人を追い詰める彼の手腕も、思わず引き込まれてしまう程にお見事でした。