SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

クスノキの女神

[著者:東野圭吾/実業之日本社]

 『クスノキの番人』の続編シリーズ第二作。ちなみに本書を読む前に『前作必読』です。

 主人公・玲斗とクスノキとの出会いの経緯、伯母・千舟との関係性、不可思議現象の『クスノキの祈念』の詳細など、続編の今作ではほとんど説明として触れられていないので。

 一応『クスノキの祈念にまつわる独立した事件的な内容』として、本作からでも読めなくはないですが、前述の重要ポイントを理解していた方がより楽しめると思います。

 前作にて、『クスノキの祈念』の本質とか真相は大体語り尽くしていたと個人的には感じていて、そこからどう物語を発展させて行くか注目して読んでいました。

 まず一番に思ったのは「玲斗、めちゃくちゃ頼もしくなったな!」と。慣れない責任を負わされておどおどしてた前作とは比較にならない程、経験を積んで立派に頼れる存在になっていて妙に嬉しかったです。

 物語は、ひとつの事件が複雑化する中、そこからクスノキの祈念によって真相が導かれる,と言うもの。玲斗の機転で、これまでとは少々違う『クスノキの祈念の方法』が盛り上がりに繋がっている辺りは特に見応えありで面白かったです。

 最後は少々ほろ苦い結末で、ただそれも玲斗を始め残されたものの覚悟を感じられるもので、辛くはあっても充分に納得のゆくものでしたね。