SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

青色ノイズと<やきもち>キラーチューン ワケありJKと始める男装V系バンド

[著者:総夜ムカイ/イラスト:しぐれうい/MF文庫J]★

 第14回MF文庫Jライトノベル新人賞『審査員特別賞』受賞作。

 これじゃあまるで、神原小鳥がメインヒロイン扱
いみたい。それはそれで構わないのですが、元々大
上に再起の切っ掛けを与えてくれたのは化野音子で
あって、それなら化野が中心になるような展開が欲
しかったなと。途中から何故か神原に切り替わっち
ゃったんですよね。ここにおそらく主な不満があっ
て、要は「見たかったのはこれじゃなかった」と。
 あとはメンバー揃って楽器を扱ってのバンドの練
習風景とか、そこで盛り上がるライブへ向けての気
合や意欲とか、そういうの殆ど見られなかったのが
物足りなく思いました。終盤はノリと勢い突っ走っ
てる様でしたが、それまでの“溜め”が弱かったせ
いか、あまり熱量を感じる事は出来ませんでした。

聖語の皇弟と魔剣の騎士姫 ~蒼雪のクロニクル~

[著者:春楡遥/イラスト:Hiten/MF文庫J]★★

聖語の皇弟と魔剣の騎士姫 ~蒼雪のクロニクル~ I (MF文庫J)

聖語の皇弟と魔剣の騎士姫 ~蒼雪のクロニクル~ I (MF文庫J)

 第14回MF文庫Jライトノベル新人賞『優秀賞』受賞作。

 カロリーナって、序盤から物語の立ち位置として
雪音と二人でメインヒロインな扱いだと思っていた
のに……その事情や真相が後になって蒼生と雪音の
手によって暴かれたとは言え、事が起こった時点で
はなかなかの容赦の無さにかなり驚かされました。
 本音を言えば「と、思わせておいて実は……」な
希望的展開になって欲しい気持ちでしたが、結構早
い段階でそれはどうやっても覆らなくて無理だと示
されたので、納得して諦めがついた感じでしたね。
 今回の黒幕ですら更に暗躍する何者かの捨て駒に
過ぎなかった為、結局思惑やら目的やらは曖昧に濁
された印象で、その辺りの真実を蒼生と雪音がこれ
までと立場を変えて追って行く事になりそうです。

人形剣士(ドールブレイブ)は断ち切れない 一等審問官ガルノーの監視記録

[著者:林星悟/イラスト:ニリツ/MF文庫J]★★

 第14回MF文庫Jライトノベル新人賞『最優秀賞』受賞作。

 『魔導審問官』による“攻撃魔法狩り”。その一
方的で強制的な粛清の姿を見るに、最初からあんま
り綺麗なイメージは抱けなくて、加えて魔女狩りを
例えに挙げているのもあって、ガルノーが高々と掲
げていた“正義”が途中で引っ繰り返って踏み躙ら
れた時に「やっぱりなあ」って思わされました。
 しかしながら、そのままブレイス対魔導審問官に
なるかと思いきや、途中のあの転換点ではかなり思
い切った展開で意表を突かれました。全く想定して
いない所から不意にぶん殴られたような衝撃で。
 主役の立場はブレイスとリネットでしたが、一人
称視点であるガルノーの、散々迷った挙句に辿り着
いた“正義”の姿、これが最も印象に残りました。

宝石吐きのおんなのこ8 ~微睡みの中の貴方~

[著者:なみあと/イラスト:景/ぽにきゃんBOOKS]★★

 スプートニクとナツってお似合いなんじゃないか
なあと、前からずっと思っていた事ですが。今回の
遭遇が全くの偶然だと言うのなら、それこそ引かれ
合う何かを感じずにはいられませんでした。もっと
も、仮にそういう感情をとりわけナツの方が微かに
抱いていたとしても、恋人同士な関係には決してな
らないだろうなって思ったりもするんですけどね。
 思いのほか長期展開になりつつある、ヴィーアル
トン市のクリュー体験入学編。ここに来て更に謎が
ぶちこまれて「どういう事?」って幕引きでしたが、
おそらく次で諸々明かされるんじゃないかって予感
はありました。特にクリューの“宝石吐き”につい
ては核心に触れる事になりそうな感じですよね。

既刊感想:

クズ異能 温度を変える者の俺が無双するまで

[著者:鍋敷/イラスト:萩pote/PASH!ブックス]★★

 「なにその異能すげぇえええ欲しいぃぃぃぃ!」
ってなりました。正確にはアツシの温度変化能力の
“付加要素”とでも言うんでしょうか、極端な温度
変化にも耐え得る身体能力を物凄く欲してしまった
わけです。灼熱でも極寒でも影響受けない肉体って
凄くないですか? クズ異能なんてとんでもない、
戦闘能力なんて全く必要のない現実の日常生活にお
いて、ある種最強クラスの異能だと思いました。
 まあ実際にはメリア先生が事実を偽って能力値を
告げていて、本来は超絶危険な異能だったわけです
が。一見平穏そうに見えて、異能を付け狙う輩もう
ろついていたりして、それらを相手にインフレ化が
どこまで進むのかちょっと楽しみでもあります。