SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

ゲーマーズ・ハイ2 影の王者の後継者

[著者:五月什一/イラスト:ミユキルリア/MF文庫J]★★

終了だけど完結ではない
 今回で物語は終了との事。サキトとエレーナの伏せられていた関係、カジノ学園での新たな生活、アリスの保護と抱えた借金の返済の行方、などをギャンブルと絡めて描いて行く。最低限決着を付けなければならない部分も含め、大分駆け足で『何とか詰め込みました』感があったのは仕方の無い所か。

その先の展開も追ってみたかった
 特にエレーナの件は、サキトの過去と生き方と進路に多大な影響を与えた要素だから、もっと深く掘り下げて欲しい所でした。あと『ヘルマ』なる組織はまだ謎が多く、『西の魔女』の事も未回収のままで、本当に物語としては『道半ば』なんですよね。サキトの特性を活かしたギャンブル勝負も面白く描かれていたので、残念としか言いようが無い。

既刊感想:

探偵くんと鋭い山田さん 俺を挟んで両隣の双子姉妹が勝手に推理してくる

[著者:玩具堂/イラスト:悠理なゆた/MF文庫J]★★

『何故か事件を呼び寄せてしまう体質』ってあると思います
 もし学校の部活動に『探偵部』みたいなのがあったら、こんな感じになるのかなあ? 実際の所は、和の迂闊な発言で勝手に噂が広がって、面倒事を背負わされてるようなものですが。生徒に対しての『お悩み相談』『便利屋』『雑用係』、みたいな印象。積極的に好んで担いたい『役割』ではない。和自身もそう思っている。けれども、それを引き寄せてしまう辺りが『探偵役の資質』なのかも知れない。

能力値は姉妹の方が上、でも二人だけでは成り立たない
 雨恵は直感型の天才肌、雪音は思考型の理論派、じゃあ和は? と考えると「何か突出したものあったっけ?」となってしまう。まだ探偵役としての実力は未知数。ただ、彼が居ないと場が成立しない『存在感』は充分に発揮出来ていたと思う。

ブラックな騎士団の奴隷がホワイトな冒険者ギルドに引き抜かれてSランクになりました1

[著者:寺王/イラスト:由夜/オーバーラップ文庫]★★

何気なく気付いたら何時の間にか無双していたような
 めちゃくちゃ強い主人公が、いけ好かないブラックな騎士団や組織をボコボコに叩き潰すお話。主人公のジードは普段は言われるがままに依頼や任務をこなし、感情的にはならず割と淡々と静かに力で圧倒して捻じ伏せる感じ。力を振るう相手が救いようのないクズ揃いなので、充分な爽快感が貰えます。

出自や能力的な部分について多くは語られていない
 ジードの話を聞くと「どうやって生き延びたんだ?」な所はちょっと気になる。そう言えば、Sランクのソリアがジードを猛烈に推している理由がよく分かりませんでしたが、彼女の話が聞ければジードの事を更に理解出来るのかも? 何処までソリアが知っているかは不明ですが、あの好意的な眼差しから察するに、大分詳しいんじゃないかなあ。

ひとりぼっちの異世界攻略 life.4 王女よ偽迷宮に散れ

[著者:五示正司/イラスト:榎丸さく/オーバーラップ文庫]★★

調子こいたポーズで本心をひたすら伏せるタイプ
 相変わらずタラタラとおちゃらけた一人語りですが、どこか本音を取り繕っている態度なんですよね。ほんの一瞬、微かに垣間見せる本心。同級生を自らの手で殺めた事と二つの村を救えなかった事に対する重荷と悔恨と自責の念と、逃げるような避けるような自衛策的な振る舞いが“これ”なのかなと。

何もかもを請け負わせてしまう状況が女子達の悩み所
 生産職からダンジョン攻略まで、一手に背負うその姿は『異世界版社畜』みたいな様相。まあ遥自ら率先して「やりたいから好きでやっている」だけの事ですが。でも、特に周囲の女子達は歪んだ異常性を肌で感じているから、悪ノリに付き合っているようでいて実は不安なわけですよ。簡単に精神病む事は無いと思いますが、心配の種ではありますね。

既刊感想:

ひとりぼっちの異世界攻略 life.3 泣く少女のための転移魔法

[著者:五示正司/イラスト:榎丸さく/オーバーラップ文庫]★★

『偽悪』
 遥を象徴する言葉。話の途中で委員長が言ってたんだったかな。もっとも、『そうあるべき』と意識的に振舞っているのではなく、『やりたい事だけをやっている』結果として、何も知らない他者の目からはそんな風に映ったりする。勿論クラスメイト達は、遥のおちゃらけた振舞いの裏に潜む『本質』を充分に把握し理解している。それだけに、遥がこなしている役割が、彼以外に代行出来ないのも承知していて、そこをもどかしく感じてもいるようですね。

見せたくはない『本質』
 表面上では話を逸らしまくったり、本音を誤魔化してお調子者っぽい態度を取ってばかりな遥ですが、時折急に体内のスイッチが切り替わったかの様な変化を見せる。それは心の底からの「やってらんねえ」な呆れや怒り。思わずゾクッとさせられる。

既刊感想: