SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

吸血鬼は僕のために姉になる

[著者:景詠一/イラスト:みきさい/ダッシュエックス文庫]★★

吸血鬼お姉さんと僕
 吸血鬼のセナさんが、やたらとお姉さんキャラで日向に迫っている様子を見て、始めの頃はコメディっぽい展開になるのかと思ってましたけど。実際にはシリアス寄りで、何となくしっとりとした空気が感じられました。『幻想種』『虚構種』などの人外の存在もあってか、どこか現実離れした幻想的な雰囲気で、その辺りの描写がとても印象に残りました。

幼馴染みと親友と僕と『幻想種』の関係
 日向の数少ない友達の内、幼馴染みの心音と腐れ縁の佐伯と。日向の『波野の血』が引き寄せたと考えると、二人共『そう言う事』だったのにも納得ですね。でも日向って、今後もそう言う人達としか深い付き合いが出来ない? まあセナを始め大いに好かれているようなので、それでも問題無いのかな?

放課後は、異世界喫茶でコーヒーを6

[著者:風見鶏/イラスト:u介/富士見ファンタジア文庫]★★

ユウにとってそれは果たして望んだ展開なのかどうか
 ユウに現実世界への帰還のチャンスが突然訪れる。ただ、それは『強制的な帰還』であり、ユウには『残るか?』『戻るか?』の選択肢さえ与えられない。もし、ユウがずっと心の何処かで「帰りたい」と望んでいたなら、そこは後押ししたい気持ちになれたと思う。でも、実際にはそこまで戻りたいと願っている様には見えなかった。なので、異世界に残って欲しいなって気持ちの方が強かったですね。

ユウにとってそれがきっと最良の結末
 異世界でユウが『得たモノ』があまりに大きくて、それを全て失い無に帰すのは見たくないな、と言う思いでした。どちらの良かったのかは正直分からない。それでも、ユウ自身がこの結末に納得出来たなら、きっとそれが最良だったのでしょうね。

既刊感想:

さよなら異世界、またきて明日 旅する絵筆とバックパック30

[著者:風見鶏/イラスト:にもし/富士見ファンタジア文庫]★★

この世界に一体何が起こって現在に至ったのか?
 滅び行く世界の中で、行くあてのない旅を続け、数少ない生き残りの人達との交流を重ねて行く。この世界について、あまり地の文では多く語られていないのが特徴か。登場人物達の会話や、旅の途中にある風景など、『雰囲気を描く』事で世界を語るような感じ。実際に崩壊以前どうだったか、崩壊してどうなったか、詳細はまだ掴み切れていない。

旅の目的はあるが、達する方法が見当たらない
 ケースケもニトも、それぞれに旅の目的はあるけれど、行き方が全く分からない。世界崩壊で生者も極少数(らしい)、ここから有益な情報を得るのは非常に困難な状況。さてどうする? 奇跡的な他者との出逢いが僅かな前進となっているので、偶発的なチャンス=新たな遭遇に期待するしかないのか。

神々に育てられしもの、最強となる3

[著者:羽田遼亮/イラスト:fame/富士見ファンタジア文庫]★★

神々に育てられしもの、里帰りする
 ゾディアック教団と事を構える態勢で進んで行くような雰囲気もあったのですが、ウィルに事情があるとは言え思ってたよりも早い一時帰郷だなって印象でした。最強を極めるまで一生帰らない心構えと思ってたので。まあ神々は「帰って来るな」とは言ってませんでしたからね。むしろ「寂しいから早く帰って来て」な気持ちだろうし、神々たち(特にミリア)にとっては嬉しい帰郷だった事でしょう。

ローニン父さんの過去
 神々の過去、ローニン編。描かれていたのは『家族へ注ぐ愛情の強さは全てを凌駕する』。ウィルは決して『無敵』ではなく、強者に劣る所も結構ある。ただ、それだけでは計れない、目に見えない『真の強さ』をウィルの中に見たような気がしました。

既刊感想:

ある日から使えるようになった転移魔法が万能で生きるのが楽しくなりました2

[著者:まるせい/イラスト:イセ川ヤスタカ/富士見ファンタジア文庫]★

異世界側がメインで現実世界側の存在感が薄い
 主人公が現実世界と異世界とを自由に往復出来る設定ですが、ちょっと絡め方がイマイチな印象だったかな。まあ「現実世界側の描写と翼の存在って必要ある?」ってとこですね。ほとんどが異世界側のエピソードで、悟の転移魔法も異世界側の状況に応じて使われるだけだったので、双方の世界で『影響を与え合う』展開をもっと見たかったです。

双方の世界が絡み合い盛り上がる為には?
 一応『異世界間交流』として、シリウス王子と現実世界の重鎮・総一朗との橋渡し役で、悟の転移魔法も有効活用はされてましたが。実はこの部分を広げて展開して欲しかったんですよね。そうなれば、孫娘の翼も異世界やリリアナ達と絡む切っ掛けになりそうだったし。割とあっさりだったので残念。

既刊感想: