SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

サークルで一番可愛い大学の後輩 2.消極先輩と、積極後輩との花火大会

[著者:水棲虫/イラスト:maruma(まるま)/富士見ファンタジア文庫]

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 「さっさと花火大会に誘えやこのヘタレが!」と、前半の牧村に何度言いたくなった事か。でも、牧村自身にヘタレの自覚も超絶消極的な自覚もあって、「もしも美園にその気がなくて、こっちの思い込みの勘違いで断られたら……」みたいな、思い切って踏み込めない気持ちも分かるんだよなあ……ってもどかしさ満載な気持ちで読んでました。

 牧村の場合、より正確には『自分が美園に振られて傷つくのが嫌だ』ではなくて、『自分の気持ちに応えられなかった場合、美園が気まずい思いをするのは嫌だ』なんですよね。どんな状況になったとしても、牧村は自分がどうなろうと関係なく常に美園の気持ちを考えている。

 だから、表面上だけの様子でタレだ消極的だと断じて言い切れない。多くのサークル仲間にも認められる程いい奴だからね。なので終盤の展開は、思わず飛び上がる程に嬉しかったです。文化祭本番へ向けて二人の仲がますます加速して行きますように。

既刊感想:

サークルで一番可愛い大学の後輩 1.消極先輩と、積極的な新入生

[著者:水棲虫/イラスト:maruma(まるま)/富士見ファンタジア文庫]

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 大学サークル活動内での先輩(主人公)後輩(ヒロイン)ラブコメ。『学園祭実行委員』に『サークル活動』を混ぜたような雰囲気で、秋の学園祭に向けての長期計画的な委員会活動でありながら、メンバー間のプライベートな交流も割と盛んな印象でした。

 読みながらずっと気になっていたのは、『美園は何故牧村に対する好感度が最初から高いのか?』と言う事。理由や事情を持っているのは何となく分かっていながら、ハッキリとは表に出ないので結構焦らされてしまいました。

 前年実行委員を務めた牧村と面識があるように感じながら、牧村の方が全然覚えていないのも謎でしたし。この辺りの答え合わせは、終盤の美園視点の独白にて。美園の好感度が高いのも、牧村が覚えていないのも、ちゃんと答えがありました。

 今の時点では先輩後輩の友達以上、恋人直前、って感じでしょうかね(まだ面と向かって告白はしていないはずなので)。学園祭へ向けて二人の関係がどう盛り上がって行くか、学園祭が終わったあとの展開がどうなるか、主に気になる所です。

祈りのカルテ

[著者:知念実希人/KADOKAWA]

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 研修医の主人公・諏訪野良太。彼の『患者個人とその事情に寄り添い過ぎてしまう』『患者の複雑で微妙な感情の変化に気付き過ぎてしまう』特性は、果たして医師として良い方へ働くのか? それとも重い足枷になってしまうのか?

 様々な医科を研修医として巡りながら“訳あり”な患者と接する諏訪野を見て、時に入れ込み過ぎな危うさはありながら、おおむね患者にとっても諏訪野自身にとっても良い結果に繋がっているなと思いました。

 ただ、各医科の指導医達は口に出さずとも、諏訪野の特異性に対して『期待』と『危うさ』が入り混じったような反応を示しているようにも感じられました。

 おそらく気付き過ぎるが故に、諏訪野は今後も訳あり患者と接して行く事になるのでしょう。正式な専門の医師となった事で、患者との関わりを含めて、様々なプレッシャーに精神が押し潰されない事を願うばかりです。

くま クマ 熊 ベアー2

[著者:くまなの/イラスト:029/PASH!ブックス]

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 クマ娘、起業家になる。人を雇ってにわとり飼育で卵を生産・販売って、現実世界で言う所の会社経営の発想をあっさり行動して実現させているわけですよ。

 しかも、自分のお金儲けや利益を得るためではなく、自分以外の誰かの救いになろうとしての行為ってのがまた目を見張るものであり、ユナって子の面白い所だなあと。

 個人的には、ユナって『他者貢献の塊』みたいな存在だと思いました。おそらくユナ自身は自覚無しでしょうけど、大抵の場合が自分が救いたい誰かの為に、と言う気持ちが行動の起点になっている。

 言い換えると、ユナが『自分がこうしたいと思って行動した事』が“他人を救う事”に繋がっている、となるのでしょう。こう言った打算なき自由なユナの行為を見るのも、またその影響で誰かが救われる姿を見るのも実に気持ちの良いものです。

既刊感想:

くま クマ 熊 ベアー

[著者:くまなの/イラスト:029/PASH!ブックス]

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 15歳にして株式投資で生涯資産を築き上げたっぽいのに、抜け殻のように引きこもってオンラインゲームをプレイする日々を送る主人公・ユナ。

 両親との関係も修復不能で切れていて、投げやりで廃れて「なにもかもどーでもいい」精神状態に見えたので、転機とも言える原因不明の異世界転移は、ユナにとっては良い方向に影響してくれたのかなあ、なんて思いながら見ていました。

 現世のユナの状況が、なんか諦めを越えて悟り切った雰囲気を出しているように見えていたせいか、異世界でも淡々とした態度で全然動じないなあって印象でしたね。

 誰がどんな意図でユナに『クマの最強着ぐるみ』を与えたのか、元のゲームの運営が関係しているのかどうか、今の所は全くの謎のままなので特に気になっている所です。ただ、そう簡単には明かしてくれないと思うので、とりあえずはユナの異世界無双生活を楽しんでいたいです。