SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

エロマンガ先生3 妹と妖精の島

[著者:伏見つかさ/イラスト:かんざきひろ/電撃文庫]

 マサムネが狭霧の事を好きだと断言しているにもかかわらず、ムラマサ先輩もエルフ大先生ちゃんも案外マサムネの事を諦めてないですよね。理解した上で『好きな気持ちは捨てられない』ってとこでしょうか。

 エルフ先生は好意を誤魔化してる感ありますけど、変に隠し立てして悶々とするのを見せられるより、ムラマサ先輩のようにフルオープン状態の方が見ている分には気持ち良いです。結局、一番悶々とさせてくれるのは絶え間なく煮え切らない態度の狭霧なんだよなあ、と。

 マサムネはフラれたと思い込んでいるので、狭霧が訂正しない限り一生このまま続くでしょう。見ている感じだと、狭霧が“覚悟”を決めるにはまだまだ時間が掛かりそう。まあ、そう言った“くすぐったい”ようなムズムズするような、マサムネと狭霧の状況も捨てがたく好きですけどね。

エロマンガ先生2 妹と世界で一番面白い小説

[著者:伏見つかさ/イラスト:かんざきひろ/電撃文庫]

 着物少女=千寿ムラマサでしょ? って読み手に思わせようと誘導されてるような気がしたので、「多分そうなんだろうなあ」と書き手の意図に乗ってみた。その結果、誘導も何もごく当たり前のようにあっさりその事実が判明して、実はその後のマサムネとのやり取りの方が本題だったと言うわけで。

 その二人(とエルフ先生と狭霧を交えて)の会話の中で、『自分にとっての最高の作品』に関する部分は、フィクションながら“本好き”にとってなかなかに熱く胸に突き刺さるものがありました。だから、ムラマサ先輩の鬼気迫る感情的な本音の吐き出しは、めちゃくちゃ来るものがあって凄く良かったなあって感じでした。

 しかしムラマサ先輩、マサムネへの『告白』があまりにどストレート過ぎて、この辺もなんか「すげーなあ」と凄味を思えてしまいました。即答でキッパリ返事はしたものの(マサムネ偉い!)、同業として関係は続いて行くわけで、互いにどんな気持ちで接して行く事になるんでしょうかねえ。

エロマンガ先生 妹と開かずの間

[著者:伏見つかさ/イラスト:かんざきひろ/電撃文庫]

 ラノベ作家兄と、そのイラストレーター義妹との恋愛話がメインになるのかなあ。なんか雰囲気的には最初から相思相愛っぽいんですけど、どうなんだろうなあ。

 正宗は、あくまで『妹を開かずの間から出してまともな家族生活を取り戻したい』気持ちの行動だと思って眺めてたんですが、どうもガチで狭霧に惚れてるっぽい態度を出してる風で。一方の狭霧はもう分かり易すぎるくらい、ハッキリと『お兄ちゃん大好き超絶ツンデレ義妹』だし。

 それだけで考えると、もう恋愛話的には「端から答えは出てるんじゃないか」となりそうなんですけど。でもまあ色々複雑で面倒臭い関係みたいなので、到底単純明快に収まりそうにない辺りで面白く盛り上がって欲しいな、と期待は高まってます。

本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~ 第二部 神殿の巫女見習いIV

[著者:香月美夜/イラスト:椎名優/TOブックス]

 第二部完結編。『平民青色巫女見習いマイン』改め『上級貴族ローゼンマイン』誕生。神殿長のクズ行為のせいで、マインの養女の話が大幅に繰り上がってしまうと言う急転直下の展開に。

 とりあえず青色神官を騙っていた、うさん臭さ全開だったジルヴェスターさん、あなたよもやの存在だったんですね。もしもの手段をマインに託してた辺り只者じゃない感はありましたけど、それにしてもその“身分と立場”には全然考えが及ばず「ええっ!?」って感じでしたよねえ。

 クソ神殿長にクソ貴族の薄汚い陰謀も、神官長、騎士団長、そしてジル様の裁きによって跡形もなく消え去って、ようやくマインの身の危険もなくなってくれる。

 ただし、その代償として、上級貴族の養女になる為に『家族との縁』を完全に断ち切らなければならない、と言うマインにとて過酷な決断をする事になってしまう。ここは覚悟はしていましたが、やはりその時が訪れてしまうシーンは辛く切ないものでした。

 ここまで急速に事が進んでしまったので、多分マインも感情の整理がまだつかないままだと思う。精神的な負担によって、病弱な身体に悪影響が出なければ良いけれど……。ジル様や神官長など、これから支えてくれるであろう人達が後ろ盾になってくれる事を信じて新章へと進む事にします。

本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~ 第二部 神殿の巫女見習いIII

[著者:香月美夜/イラスト:椎名優/TOブックス]

 金属活字の生産に成功し、印刷機開発の目途も立ち、「印刷技術の幕開けだ!」とマインが喜んだのも束の間。大っぴらに目立つ商売はお貴族様の『既得権益』を脅かす事になるそうで、平民身分のままでは問題ありとして、印刷機を用いての本の量産は一時停止せざるを得ない事になる。

 この事に関連して、神官長が提案する『上級貴族の養女』になる事をマインが受け入れれば、身分を気にせずに大手を振って印刷技術を振るえる、と言うもので。

 マインの魔力を狙う魔の手の危険を回避する意味で、どうやら貴族の養女を受け入れなければならない方向に話が進んで行きそうな雰囲気になって来た感じです。

 10歳を迎えたら有無を言わさずに、との神官長の断言なので、どんなに駄々をこねようとも、おそらくマインが家族と暮らせる時間はもう残り少ない。

 加えて神殿長の『身食い(マインの病名)』を求めているらしい不穏な発言が残されていたりで、もしかしたらマインが決断すべき時は想像以上に迫って来ているのかも知れません。