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本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~ 第二部 神殿の巫女見習いIII

[著者:香月美夜/イラスト:椎名優/TOブックス]

 金属活字の生産に成功し、印刷機開発の目途も立ち、「印刷技術の幕開けだ!」とマインが喜んだのも束の間。大っぴらに目立つ商売はお貴族様の『既得権益』を脅かす事になるそうで、平民身分のままでは問題ありとして、印刷機を用いての本の量産は一時停止せざるを得ない事になる。

 この事に関連して、神官長が提案する『上級貴族の養女』になる事をマインが受け入れれば、身分を気にせずに大手を振って印刷技術を振るえる、と言うもので。

 マインの魔力を狙う魔の手の危険を回避する意味で、どうやら貴族の養女を受け入れなければならない方向に話が進んで行きそうな雰囲気になって来た感じです。

 10歳を迎えたら有無を言わさずに、との神官長の断言なので、どんなに駄々をこねようとも、おそらくマインが家族と暮らせる時間はもう残り少ない。

 加えて神殿長の『身食い(マインの病名)』を求めているらしい不穏な発言が残されていたりで、もしかしたらマインが決断すべき時は想像以上に迫って来ているのかも知れません。