[著者:星家なこ/イラスト:藤原々々/MF文庫J]★★
第3回MF文庫Jライトノベル新人賞『佳作』受賞作。
一方向の視点だけでは曖昧だったものや意味の分からなかったものが、別方向の視点から眺める事で初めて明確になり意味が通るようになる。こういう構成、どうも私は無条件で贔屓したくなるくらい大好きらしい。
しかも、第一エピソード(輝幸とありすメイン)での伏線や謎の散りばめ方とか、第二エピソード(杏メイン)での解き明かしのテンポやタイミングとか、組み立てが巧いなぁと思わされた箇所が幾つもあって、もうその時点で全面降伏。最後まで辿って、再度プロローグを読み返して、「ああ……そう言う事だったのか……」と理解して、堪らなくて泣いてしまいたくなったりとかね。
概ね満足でお腹一杯ごちそうさまでした。ただ、欲を言うと、輝幸との触れ合いから生じたありすの“心の変化”を、彼女自身の視点で感じてみたかったかなぁと。
……あ! あと麗華が凄かったよ! こんな凄い幼馴染みに出逢ったのは久々で、別の意味で満足だった。