SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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PAY DAY1 日陰者たちの革命

[著者:達間涼/イラスト:小玉有起/MF文庫J]

 第16回MF文庫Jライトノベル新人賞『審査員特別賞』受賞作。

 アメコミ風なイメージの物語、と言う印象。主役側は、アメコミヒーローに成敗される側の悪役達。もっとも、その悪役達も複雑で深い事情を、持ち合わせており、彼らの視点で物事を追っておると、必ずしも『絶対的な悪』ではない事に気付かされる。

 事情を把握した上で、悪役の窮地を救いたい、悪役の勝利や成功を願う気持ちになって来る。春樹達自身も理不尽な状況に飲み込まれ、決して快楽的に他人の寿命を奪っているわけではないのだから。

 とは言え、ヒーロー側にも役割をこなす事情がしっかりとあって、そこが描かれるようになると、彼の方に肩入れしたくなったりもするんですよね。

 自らの『命』を削って『命』を奪う。ヒーローとの戦いを経て、どんな結末に落ち着くのか、最後まで予断を許さぬ展開で面白かったです。ただ、割と綺麗にまとまってくれたので、ここから続くとなると、どう展開して行くのか? 気になる所ですね。