SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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推しが俺を好きかもしれない

[著者:川田戯曲/イラスト:館田ダン/富士見ファンタジア文庫]

 もしも俺の推しアイドルがクラスメイトの美少女で、俺の事を認知して特別な交流を持ってくれるようになって、俺に恋愛感情的な好意を抱いてくれたら……と言うイタい二次元ヲタクの誇大妄想……と思わせておいて、なんか何時の間にか妄想が実現しちゃた? みたいな期待感を抱かせてくれるお話。

 正確には、『ネット発で絶大な人気を誇る若き歌姫』。芸能人と一般人、超有名人と凡人、人気歌手とその一ファン。憂花と光助の初期段階の関係性ですね。ここから、光助が憂花の『素の本性』を知り、奇妙なコミュニケーションを重ねつつ、徐々にお互いの気持ちに変化が現れて行く、と言うもの。

 基本的に、主な登場人物は光助と憂花の二人だけ。でも、登場人物の少なさによる物足りなさは全く感じませんでした。とにかく、二人の会話によるコミュニケーションが眺めていてとても楽しい。そして、感情の移り変わりの描写が非常に深くて濃い。

 特に『アイドルとファンの距離感』みたいな所での、憂花と光助はそれぞれの立場でどう向き合うべきか? について葛藤しながら答えを出して行く様子は、実に見応えのある描写で良かったですね。