SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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無自覚チートの箱入りお嬢様、青春ラブコメで全力の忖度をされる

[著者:紺野天龍/イラスト:塩かずのこ/電撃文庫]★

 不幸体質? ……どこが? と、首傾げる程に、琥太郎ってそんなに不幸でもないような気も……と思わされる辺りも、実は途中の伏線が効いていたりしてたのかなあ、と思ったりもしました。

 少なくとも、撫子と関わってから不幸体質が静まったのには相応の理由があって、「なるほどねー」と納得で頷かされましたよね。まあ、『女難』と言う意味では不幸状態継続中、なのかも知れませんが。

 青春ラブコメにぼっち主人公、そして訳あり変人ヒロインズ。どちらかと言えば「青春してるなぁ」な雰囲気が強めで、割とほのぼのな空気感が続いて行く……かと思いきや、途中でガラッと雰囲気が変化して、良い意味で意表を突かれた感じでしたね。

 この、物語に仕掛けられた『変調』、個人的には凄く良かったです。好きですね、こういう展開。特に琥太郎がね、好感度爆上がりで。一見頼りなさげで、実は凄まじく肝が据わっていて驚かされました。

 とりわけ終盤の琥太郎の機転は、「覚悟が決まってもそこまでは出来ないでしょ」みたいな無謀行為で、ホントすげえ奴だなと。ただ、問題を全部乗り越えられたわけではないので、ここから果たしてどう展開して行くのか。撫子の状態は? 琥太郎の行動と選択は? 注目しつつ続きを楽しみに待ちたいです。