[著者:冬野夜空/カバーイラスト:へちま/スターツ出版文庫]
『“死の予兆”をほとんど感じさせない人』
綾部香織を言い表すなら、こうかな、と。個人的には。
重病患者である事。
死へのカウントダウンが進んでいる事。
読んでいて、輝彦の視点で追っていても、香織はほとんどそれらを意識させませんでした。
それだけに、香織がほんの一時輝彦だけに見せた“本心の素顔”が、物凄く心に突き刺さりました。
悲壮感と言うのは、ほとんど感じませんでした。
多分ですが、香織の常に明るく前向きな生き方が影響していたのかなと。
読み終わった今もなお、香織の存在感がずっと残っているような、輝彦のすぐそばで満面の笑みを浮かべているような、そんな気持ちでいます。