SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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嘘つき少女と硝煙の死霊術師

[著者:岸馬鹿縁/イラスト:ノキト/ガガガ文庫]

 大好きだった幼なじみを蘇らせるために、故郷を滅ぼした憎き『死霊術師』になることを決意した主人公・ウィリアム。

 自然の摂理に反した行為は、この世界で可能なのか? 認められているのか、それとも禁忌とされているのか? 蘇らせる事が出来たとして、果たして“死霊術師が手をつけた”それは生前と同じと言えるのか? などなど、最初に浮かんだ様々な疑問点は、話が進み盛り上がるに連れて徐々に明らかにされて行きます。

 中でも特に気になったのは、ウィリアムが死霊術師になった原因=幼なじみのミーシェと、蘇生して得た『死骸』ライニーの関連性でしょうかね。まあ大体予想通りではありましたが、問題はライニーの中にミーシェの思念が残っているのかどうか。ここは大いに興味を引かれる部分でした。

 結局の所、現状ではその兆候は全く見られず、ウィリアムもミーシェとライニーは別の存在だと割り切っているようです。ただ、今後どうなってゆくかは分からない。このままミーシェの思念など発現なんてしない方が、ウィリアムも余計な苦しみを抱えずに済むはず。でも、一方でどこか『微かにでも残っていて欲しい』と期待を寄せてしまいます。