SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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転生したら皇帝でした1 ~生まれながらの皇帝はこの先生き残れるか~

[著者:魔石の硬さ/イラスト:柴乃櫂人/TOブックス]

 異世界転生『政争』モノ。幼児皇帝がチートで俺TUEEEで無双して「ヒャッハー」、とかの類じゃなかったです。想像以上に密度の濃い国内外での『政治的駆け引き』が展開されていました。

 とにかく主な舞台の帝国を中心に入って来る情報量が相当なもので、全ての状況を把握するのは結構骨が折れると思います。正直な所、全部が明確に整理されて頭の中には入ってないです。それだけ世界観や設定面の描き込みが半端じゃなかった、とも言えます。

 シリアスで重厚で奥深く複雑に、国家間や個人間での様々な政治的駆け引きが繰り広げられている。特徴的なのが、幼帝カーマインは“操り人形を演じながら”皇帝の地位を最大限に活用出来る道を的確に歩んでいる、という点。

 表向きは『愚帝』を演じつつ、水面下で息を潜めて“その時”が来るのを待っている。それもただ待っているのではなく、裏に隠す皇帝としての才気をいかんなく発揮して、有能な人物を引きつけ動かしながら、じわりじわりと政局を変えて行こうとしている。

 前述のように、情報量が多くて頭に詰め込むのが大変なんですが、その分物語として非常に読み応えがあって面白いです。まだまだ序盤戦、幼児皇帝が成長するに連れて、どんな行動を見せてくれるのか、今後が楽しみです。