[著者:日の原裕光/イラスト: あれっくす/富士見ファンタジア文庫]
一言で『100億回』と言ったら割とあっさりしたもんですが、改めて数字と回数の意味をじっくり考えると気が遠くなる。しかも、それだけの繰り返しを重ねる目的ってのが、『幼馴染みの少女を救い幸せにしたい』というだけ。自分の身は一切考慮せず、ただ彼女の幸せを願うだけの為に、その確実な方法を探す為に、転生を延々と繰り返している。
その重い事実を頭に叩き込みながら読んでいると、主人公ディータの行動ひとつひとつに、深い意味が込められているように見えて来る。そんな想いが全て、幾度転生しても変わらない、幼馴染みのシストラに注がれている。なんか溜息出ちゃいますよね。
ディータにはこれまでの記憶も経験も全て蓄積されているそうなので、そりゃあ俺TUEEEに無双するのが当たり前なわけで。むしろそうならない方が嘘で間違いだと思う。実際にその辺は期待通りの展開で満足しました。この無敵状態で、果たしてどうシストラの『救い』を見つけ出して行くのか。
日の原 裕光/あれっくす KADOKAWA 2021年06月18日