SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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ふたりの余命

[著者:高山環/Independently published]

 もしも『死神』と名乗る幽霊に突然『余命』を宣告されたら。もしもその余命が『あと一年』『あと二年』の短命だったら。もしも嘘みたいな死神の存在や、死神が告げる余命宣告も疑いようのない事実だと認めざるを得ない状況を理解してしまったら。

 そんな『もしも……だったら』の波が、残酷な現実として突き付けられる。宣告を受けた高校生の椎也と楓は、互いの余命を知りながら、支え合うように自分の『残された時間』と向き合って行く事になる、と言った物語。

 特に大きな興味を抱いたのは二点。ひとつは最後の時間までをどう生きて行くのか? もうひとつはどんな結末を迎えるのか? 仮に自分がそうなったらどうなるか……と考えてみて、少なくとも椎也と楓みたいに受け留めて受け入れて自分のやりたい事を貫いて生き抜く、みたいな事は出来ないと思いました。取り乱して冷静になれないか、余命宣告を絶対拒否で受け入れられないか、のような気がします。

 そう言った自分の気持ちを重ね合わせながら、二人を追っているような感覚でした。結末に関しては、読み手の受け取り方次第で結構賛否は分かれるかも知れません。個人的には椎也と楓が積み重ねて出来た絆を思って、納得出来たかなと言う感じでした。