[著者:貴志祐介/KADOKAWA]
女性弁護士・青砥と防犯コンサルタント・榎本のコンビが、密室殺人の不可能犯罪の謎に挑む。特徴としては、防犯にやたらと詳し過ぎる『防犯探偵』が絡んだ、防犯アイテムが事件性に多く絡んでいる印象のミステリーです。
その防犯アイテムに対して、事件とは関係があるものと無関係のものとを見極める捜査が非常に難航する展開。と同時に『防犯のプロ』である榎本の調査で徐々に全貌が明らかになって行く、と言う過程はとても見応えのあるもので面白かったです。
とにかく検証と実践と失敗の繰り返しで、実に泥臭く試行錯誤を繰り返しながら手掛かりや気付きを得て行く。鮮やかに謎を解いて犯人を暴く爽快感とは別種のものですが、地道な作業の繰り返しで真相に近付いて行く辺りはとても見応えがありました。
榎本はただの善良な防犯探偵などではなく、青砥は失敗しがちだけど直観的な鋭い気付きを見せる、この二人の奇妙な関係の描き方も良いなあと思いました。