SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

隣の席の元アイドルは、俺のプロデュースがないと生きていけない2

[著者:飴月/イラスト:美和野らぐ/富士見ファンタジア文庫]

 今回は琴乃がメインのお話。蓮にぶつけていた主な感情として、「私ってば全然素直に言葉に出来ないから、態度や仕草からそれとなく察してよ!」みたいなもの、だったかなあと言う印象でした。かなり無茶な要求を迫っているようにも見えるんですが、それだけ琴乃の心が追い詰められていた証だったようにも思えました。

 蓮の挑戦を見て、嫌いな自分を変えたいと思ったのに、でも結局周囲に合わせて自分を作る事ばかり上手くなって、変われないまま挫折し本音を隠して振舞ってばかりになってしまう。やり場のない抑圧されたどうしようもない感情が一気に爆発した時は、琴乃自身も相当めちゃくちゃ言っている自覚がありながら、流れ出る気持ちが抑え切れない様子が痛々しい程に伝わって来ました。

 結局の所、たとえ一時的に傷つく事になったとしても、ちゃんと言葉にしてぶつけ合わなければ真に理解し合えない、と言う事でしょうかね。それは琴乃だけでなく、蓮にもミルにも冬華にも言える事で。今回の件を経て、より一層それぞれの『本音』が分かり合えるようになったんじゃないかなと思いました。

 色々と複雑にこんがらがっていた感情の糸が、想像以上に綺麗にほどけてまとまってくれたので、「これで完結?」なんて思ったりもしましたが、この先どうなるでしょうね。

既刊感想: