[著者:水戸前カルヤ/イラスト:ひげ猫/角川スニーカー文庫]
全力で『ご都合展開』を堪能する物語、と個人的には思いました。決して批判や否定的な意味ではなくて。むしろ意図的にこう言った展開を積み上げて、「度重なるご都合展開を喰らえ!」的な潔い見せ方だと感じたりもしたのですがどうでしょうね。
まあ確かに「んな都合よくはならねーよ!」と言いたくなる状況が数知れずなのは正直な所でしたが、偶然に偶然を重ねて「これってもしかして必然?」みたいな気持ちを抱かせて行くようなやり方、結構好きです。
ちょっと気になってる事としては、涼が小中学生時に『苛めを助けられなかった人物』は誰なのか? について。同じ過去からの出来事で友里かと思ってたんですが、どうも違うみたいですよね。
偶然に偶然を重ねるなら、古井さんっぽい気もするんですが……本人からは今の所一切“匂わせ”は感じられないので、ただの見当違いかも知れません。でも、涼にとっては忘れられない心の傷跡なので、いずれ物語の中で取り上げられるものと思いたいです。