[著者:カネコ撫子/イラスト:天城しの/角川スニーカー文庫]
「じゃあ結局どんな関係になりたいんだろう?」みたいな答えの定まらない関係性に、もやもやとしたじれったさを常に感じさせてくれる。そんな立場的に非常に面倒で複雑な距離感に対して、新木と桃花の葛藤やら身悶えやらがじわりじわりと伝わって来ました。
読んでいてもうずーっと、「煮え切らねえなあ」って思いを常に抱かされたりもしました。ただ、『アイドル』と『彼女の推し』と言う関係性がそうさせているのは充分に理解しているつもりで、複雑に絡み合う二人の関係もどかしさも面白味の内なのかなと思いながら眺めていました。
『好き合っている』のは間違いない。互いに自覚もしている。でも、二人の本音を縛る『立場』が素直に思い通りにはさせてくれない。『アイドル』と『推し』のままの関係を通すか、それとも『恋人関係』を認めて変化してゆくのか、果たしてどうなって行くでしょうね。