SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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飯楽園―メシトピア― 崩食ソサイエティ

[著者:和ヶ原聡司/イラスト:とうち/電撃文庫]

 『無添加食品』対『ジャンクフード』。『食品安全維持法』を掲げ食品流通を厳しく取り締まる日本政府と、制限のせいで“食生活の質”を著しく損なわせている現状に反旗を翻す勢力との対立抗争。

 食の安全維持による健康確保を掲げながら、高騰する正規食品の価格にせいで貧富の差が生まれている事に対しては徹底して目を背けている……この大きな矛盾を孕んだ問題提起が、この物語の大きな注目点かなあと個人的には感じました。

 なにせ「ちょっとくらいジャンクなもん食ったって死にはしねえよ」が一切通用しないと言う、非常に息苦しい日本社会が背景にあるもんで、この状況をニッシン達に革命のごとく覆して欲しいって気持ちも沸き上がるってもんです。

 現状は取り締まる側の日本政府の戦力が圧倒的で、反勢力側の劣勢状態は続いているんですが、弥登の奪還も含めて何と逆襲の一撃を見舞って欲しいですよね。