SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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幼なじみからの恋愛相談。2 相手は俺っぽいけど違うらしい

[著者:ケンノジ/イラスト:やとみ/角川スニーカー文庫]

 隆之介と栞が結ばれる所が終着点であり、この物語の幕を閉じるとき……と、今回のあとがきで明言されていたので、『意図的な引き延ばし』がテーマになって来るのかなあ、と思ったりもしました。

 何はともあれ、二人の様子を見ていて真っ先に口に出るのが、「はよくっ付け」みたいに恋愛成就を急がせたくなる言葉ばっかりで。まあでも、言いたくなるのも仕方ないと思うんですよこれは。当人同士以外からは、両想いなのが丸分かりなんだから。

 そうなると、〝どんな手段”で“どこまで引き延ばすか”、に興味と注目が集まります。でも、もう既に「大分誤魔化すのも苦しくなって来てるなあ」って雰囲気ではありますけどね。特に栞の方が。

 栞がハッキリしない為、隆之介も「俺に事が好きなのかも……?」と期待は抱いても確信が持てない。この状態がもうずーっと続いている。そんな、崩れそうで崩れないバランスが絶妙なんですよね。

 栞が覚悟を決めるとすれば、本気で“隆之介が誰かに奪われる”危機感を最大限に抱いた時か。それなら、しのぶの無自覚な近接や、グイグイ積極的に来る小夏の動向などが、今後の鍵となりそうかな。

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