SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

ファイフステル・サーガ 再臨の魔王と聖女の傭兵団

[著者:師走トオル/イラスト:有坂あこ/富士見ファンタジア文庫]★★

 最初の内、ちょっとだけ設定を飲み込むのに手間
取りました。登場人物達を始めとする固有名詞、各
国の情勢や国同士の勢力関係や世界の位置関係など
など、畳み掛けるように押し寄せて来たもので。
 もっとも、そこを噛み締めて理解してしまえば、
後はすんなり物語に没頭する事が出来ましたが。と
りあえずは、この分量でもまだまだ始まったばかり
の段階で、離れた位置に居るカレルとヴェッセルの
二人の主人公が何処かで出逢いを果たすか、或いは
互いを意識して動き出してからが本番なのかな。
 対フライスラント戦の行方、名前だけでまだ姿を
見せないフィクトル総督の存在、エレオノーラの処
遇。現状気になっているのはその辺りでしょうか。

通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?5

[著者:井中だちま/イラスト:飯田ぽち。富士見ファンタジア文庫]★★

 真々子さん含め総勢16人のお母さんキャラを登
場させながら、殆どキャラかぶりをせず存在を識別
出来るってのは凄いなと。意図的に被らせたり、そ
もそもお母さんだけどお母さんじゃない人も紛れて
ましたけど、かつてないお母さん渋滞で凄まじく混
沌とした内でもしっかり面白さは感じられました。
 あとは最後に裏で動いている反お母さん組織の事
なども触れられていたり、この辺りは新情報ではな
いでしょうか。ポータの事が絡んでいる為、次回は
超有能だけど脇役に徹しているポータがメインにな
りうそうな予感もあります。関連してポータに執着
してるらしきマスターなる人物、多分表でポータに
意識向けてた某知らーせな人じゃないのかなあ。

既刊感想:

ロード・オブ・リライト2 ―最強スキル《魔眼》で始める反英雄譚―

[著者:十本スイ/イラスト:柴乃櫂人富士見ファンタジア文庫]★★

 憎き帝国のクズ野郎をぶちのめす展開。帝国側か
らすれば、取るに足らない小物とは言え、圧政を敷
いて好き放題やっているのを目の当たりにしてから
の討伐劇は、やっぱりスカッとさせてくれます。
 ただ、ティトの父親であるブリットの扱いについ
ては、こうなって欲しくなかったのが正直な気持ち
です。これこそアクスの『魔眼』どうにかしてくれ
よと思いましたが、反則染みた能力も決して万能で
はない、という事なのでしょうね。魔眼については
発動条件や使用限界やリスクなど、まだ曖昧な見せ
方なので、今後更に詳細を描いて見せて欲しい所。
 あと、黒の紙片の言語についてはまさかの事実で
した。これがどう関わって来るのでしょうかね。

既刊感想:

ジャッジメント/ブラッド2 鉄血の航路

[著者:長谷部雄平/イラスト:ビョルチ/富士見ファンタジア文庫]★★

ジャッジメント/ブラッド2 鉄血の航路 (ファンタジア文庫)

ジャッジメント/ブラッド2 鉄血の航路 (ファンタジア文庫)

 吸血鬼の在り方の是非を問う内容で、前巻の変え
るか変えないか、保守か革新か、のテーマに近いも
のがありました。今回は“吸血鬼らしさ”を保つか
棄てるか、言い換えると弱点を備えてこその存在を
取るか、それとも既存の存在価値を消去して完璧を
求めるか。吸血鬼に対して能力的な部分や弱点も含
めて強固なイメージがあるからか、そこに是非を投
げ込むような展開はとても興味深いものでした。
 ヴィクトリアの「それ取っ払ったら吸血鬼じゃな
い」の言い分ももっともだし、一方でヒルデガルド
の進化を求める在り方も分かる気もするし。激しい
主張のせめぎ合いで、ヴィクトリアの強い信念の方
に軍配が上がったような、そんな感じでしたね。

既刊感想:

剣聖の私がお前を好きだと? 笑わせるな! 大大大好きなのだ!

[著者:秋月月日/イラスト:戌角柾/富士見ファンタジア文庫]★

 第30回ファンタジア大賞『銀賞』受賞作。

 これ、小説家になるって設定、要ります? 好き
な人に想いを伝えたい手段にするのであれば、もっ
とシルフィが小説執筆する描写を重視すべきだった
のでは? 最初の決意の一言から、どんな感じでシ
ルフィのうれし恥ずかし身悶えるような妄想全開の
小説執筆風景を見せてくれるんだろう? って凄く
期待を寄せていたのに、全くと言っていい程作中で
その様子に触れてくれなくてガッカリしました。   
 ダンジョンでの魔物観察がメインなので、魔物観
察する振りしてミストを観察して、充分把握した上
で告白に踏み切るとか、その展開の方がまだ納得出
来たのかなあ。シルフィが告白する手段に選んだか
らこそ、余計疎かにはして欲しく無かったです。