SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

セプテムレックス 怠惰の七罪魔と王座戦争

[著者:古宮雅敬/イラスト:mmu富士見ファンタジア文庫]★★

 第30回ファンタジア大賞『銀賞』受賞作。

 面倒臭いと言いつつも、どうしても動かざるを得
ない場合にはむしろ積極的に動いているような、怠
惰のラグナルに対してはそんな印象だったでしょう
かねえ。主に『王座戦争』をぶっ潰す、人質に取ら
れた上に拉致されまくりのメリィを取り戻す、の二
つが原動力となっていたようで。恒常的な怠惰な生
活を手に入れる為に、余計な苦労を重ねなければな
らない、と言う奇妙な展開が面白かったですね。
 七つの大罪それぞれに見せ場があり、逆に言うと
主人公の割にラグナルに突出した存在感があるわけ
でなく。根が面倒臭がりで極力省エネで生きたい性
質の表れなのかどうか。結局完全回避は出来せんで
したが、労力分け合えた分だけマシだったのかも。

王立遊び人学校の優等生 最高の遊び人ってのはモンスターに好かれちまうんだ

[著者:大楽絢太/イラスト:イセ川ヤスタカ/富士見ファンタジア文庫]★★★

 人の話を聞く耳持たない身近な人達の厄介さを存
分に見せ付けられてしまう。強引に無理矢理にでも
こちらに意識を向けさせて、取り返しがつく内に事
実を素直にぶちまけて愛想尽かされた方が、リュク
スにとってはまだ幸せだったのかも知れません。
 でももう無理。存在感の差、実力の差、人間の器
の差、最初からあらゆる分野で引け目を感じてしま
ったリュクスが、4人の特待生に言う事聞かせるな
んて所詮無理。彼と同調するように「人の話を聞け
よ!」と何度心の叫びを耳にした事か。ただ、それ
でも何とかなってしまう所が得体の知れない“意外
性”の凄さで、勘違いさせたままの凄味がどこまで
通用するのか、不安でもあり楽しみでもあります。

最強パーティは残念ラブコメで全滅する!?3 恋する君の冒険人生

[著者:鏡遊/イラスト:おにぎりくんアリスソフト)/富士見ファンタジア文庫]★★

 本来は順番にグランドクエスト攻略して行くよう
な展開になる筈だったのかなあ、と思わず言いたく
なるような展開でした。だって、ねえ、いきなり中
途をすっ飛ばして最終局面とか。フィオの秘密や聖
女神についても、何となく急な開示に感じられたの
で、当初の予定通りにはならなかったのかどうか。
 本来はフィオの記憶を取り戻す事が今回の本題だ
ったのに、聖女神とやらが介入してきたせいで、一
挙にシリーズ終盤の大事みたいな雰囲気になっちゃ
いましたからね。第三から順に、女の子達も個々に
活躍の場があって、みたいな展開が理想だったのか
も。惜しい所でしたが、事が片付いた上での俺たち
の冒険はこれからだ、だったので良かったのかな。

既刊感想:

僕はリア充絶対爆発させるマン2

[著者:浅岡旭/イラスト:アマガイタロー/富士見ファンタジア文庫]★★

僕はリア充絶対爆発させるマン2 (ファンタジア文庫)

僕はリア充絶対爆発させるマン2 (ファンタジア文庫)

 客観的に見れば、遥真だって無人島で可愛いい女
の子達と戯れていちゃいちゃしてるリア充にしか映
らないので、何度も「お前の方こそ爆発しろ!」と
か強い怨念込めてぶつけたくもなりますよねー。
 非リアと言う思い込みが強過ぎる為、実はモテて
いるのに気付けないとか、僕なんかがモテるわけが
ないと最初から決め込んでしまうか、この自己暗示
みたいなのが解かれない限り、チャンスがあっても
非リアを脱却出来ないのかな。まあ脱却出来たら物
語が終わりそうな気もするので、無意識に無自覚に
“リア充やってる非リア”を引き摺ってゆく運命な
のかも知れません。姫奈の恋愛感情が遥真に影響及
ぼすかどうか、気になるのはその辺りでしょうか。

既刊感想:

神獣(わたし)たちと一緒なら世界最強イケちゃいますよ?3

[著者:福山陽士/イラスト:おりょう富士見ファンタジア文庫]★

 本題から離れて一時休止の形を取ってしまうと、
スリアンヴォスやら事前大会やらって何の事だった
っけ? と、なり兼ねない不安感(実際ちょっと忘
れ掛けてます)。加えて新キャラが神獣使いだとも
れなく神獣がセットで、登場人物過多で把握し難い
問題も出て来たりとか(実際ちょっとそういうのあ
りました)。更に主人公のディオスが何だか存在感
薄くて空気のように感じられたり。畳み掛けるよう
に微妙さ続出で、今回はもう一つな手応えでした。
 新事実として、神獣の出自についてだったり、願
いを叶える仕組みであったり。真偽の程はまだ明ら
かでないので、事前大会の方に話が戻ったら、その
部分を掘り下げつつ物語を盛り立てて欲しいです。

既刊感想: