SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

リセット・ワールド 僕たちだけの戦争

[著者:鷹見一幸/イラスト:Himeaki/電撃文庫]★

 社会秩序が崩壊し、未来に希望が抱けなくなった世界であっても、一致団結して協力し合い手を取り合って生きてゆく事が出来ない。人間ってやつは何て愚かな生き物なんだろう……なんて、上から目線で傲慢にバッサリ切り捨てな物言いが出来るのは、きっと読み手側の位置で眺めてるからだろうなぁ。ここから登場人物達の視点まで下ろして近接してみると「こりゃ誰もが同じ方を向いて一致団結なんて無理だわ」って思い知らされる。

 だって同じなわけないんだもん、人間の主義主張ってやつは。そういうとこから諍いが生まれるのを見て“愚か”だと思う気持ちもあるけれど、同時に千差万別な主義主張が人間の“魅力”だとも思える。そんな表裏一体の『人間らしさ』が渦巻くサバイバルワールド。

 今は生き残った若い世代中心で描かれているけれど、ここに新たに生き残っている事が発覚した『大人』が介入する事になったら、果たしてどうなるか。慎吾から見れば、命を救ってもらい生き残る為の術を教えてくれた恩人になるのだろうけど、益々主義主張の差異が浮き彫りになり、更に混乱を来たしそうな予感もある。

 あ〜そう言えば凄く気になった事が。P344の挿絵は挿入ミスでないかい?(本来はP283辺りに入るものじゃないかな〜と思った)。てか私が買った本だけそんなんだったら結構笑える。でなきゃ笑えない。