SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

隣のクーデレラを甘やかしたら、ウチの合鍵を渡すことになった

[著者:雪仁/イラスト:かがちさく/電撃文庫]

ニヤニヤし過ぎて頬が垂れる
 夏臣とユイ。部屋が隣り合ったのも、同じ学校で同じ学年で同じクラスになったのも、本当に全て偶然の出来事。これを『奇跡』と呼ぶらしいですよ。 

 二人の進展具合を眺めていると、出逢うべくして出逢った二人、みたいな感じで。偶然とか奇跡って言葉で簡単には済ませられない程。見えない力で必然的に引き寄せ合ったような。まあ色々ごちゃごちゃ言いましたが、単刀直入にお似合いのカップル。

 他者の介入がほとんど無い、夏臣とユイの二人だけの恋愛模様。終始穏やかで和やかで微笑ましい。一応付き合いは秘密にしてますが、周囲バレの危機感もあまりない。ずっとニヤニヤしていられます。

時間泥棒ちゃんはドキドキさせたい 俺の夏休みをかけた恋愛心理戦

[著者:ミサキナギ/イラスト:うなさか/電撃文庫]

時は命なり
 誰にでも平等に与えられている『1日24時間』。これに当てはまらない、ごく少数の例外が存在する。そんな誰よりも『時間の重み』を理解するヒロインと、退屈な時間を軽んじていた主人公の物語。

 最初の頃は『時間の奪い合い』みたいな駆け引きのノリで、颯と白雪のラブコメゲーム展開が繰り広げられていました。そこから徐々に、白雪が抱える事情が明かされるに連れて、この物語で描かれる『時間』と言うテーマの重要性が増して行く。

 読み進めて行く程に、『時間』の重さを白雪に突き付けられ、奥深さを思い知らされる。結構ラブコメの雰囲気が前面に出てましたが、意外に『時間』との向き合い方を深く考えさせられる内容でした。

俺のプロデュースしたエルフアイドルが可愛すぎて異世界が救われるレベル

[著者:仁木克人/イラスト:天川さつこ/電撃文庫]

物語の中では現場でアイドルに会える
 『勇者』の定義って、主人公が存在するその場所によって、きっと様々なんだろうなと、しみじみと思い知らされるようなお話でした。つまり、翔人が転移した異世界では、『ドルオタ』こそが本当に『勇者』となり得る存在だった、と言うわけですね。

 必要なのは、敵を圧倒する身体能力じゃない。真に求められていたのは、他者の心に癒しを与えるアイドルを育成するプロデュース力。翔人の『ドルオタ』経験と知識が大きな武器となる。この発想と物語への盛り込み方、なかなか面白いですよね。

 フィーリーフ達三人でグループ結成はあるのか? メノギオルとの対決の行方は? そして、もう一人のドルオタ? 色々と先の展開が楽しみですね。

ヒロインレースはもうやめませんか? ~告白禁止条約~

[著者:旭蓑雄/イラスト:Ixy/電撃文庫]

言葉で好意を示せない難易度の高さ
 三人のヒロイン達が、主人公の告白を『待つ』姿勢で、告白をされた人物が晴れて正式な恋人になれる。そんな協定を結んだ関係性で進んで行く物語。

 これ、現状の様子を見た限りで「絶対無理だろ」って断言出来る。誰一人報われずに、ヒロイン三人共倒れになってしまうと思う。何故なら、とにかく主人公の錬太郎が『超絶クソ鈍感野郎』だから。

 どれだけ好意的な素振りを見せても、錬太郎には言葉にして直接告げないと気付かれない。逆に言うと、難易度が高めだから、ヒロインレースゲームが成立してる部分もあるのかなあ。どうやってヒロインズが錬太郎を攻略して行くのか見物ですね。

グリモアレファレンス 図書委員は書庫迷宮に挑む

[著者:佐伯庸介/イラスト:花ヶ田/電撃文庫]

未踏破領域に初めて踏み込むワクワク感
 図書館と地下迷宮とダンジョン探索。かつて将来有望な探検家だった主人公・守砂尊。不思議な書から得た能力を駆使して、過去に挫折した自分を乗り越える為、学園地下に広がる書庫迷宮攻略に挑む。

 尊が掲げている目的は『攻略』ではない。図書迷宮内の未踏破領域の『完全探索』と、迷宮で死した人材(ただし地上へ戻れば完全復活する仕様)の『救助』。この見せ方が特に興味深く面白い所。

 人助けに精力を尽くす事と、未開の地を己の手で全て暴きたい欲求。過去の尊の事情をに触れて初めて、その想いが理解出来るようになる。そこから生まれた、終盤での『何が何でも目的を果たす』、と言う力強い信念に心揺さぶられました。