SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

異世界クラフトぐらし ~自由気ままな生産職のほのぼのスローライフ~

[著者:あろえ/イラスト:いずもねる/Mノベルス]

 現実世界でプレイしていたMMORPGの世界へ、いきなり転移させられた主人公ミヤビ。ゲームと同じように持っていた『生産職』の能力を活用しながら、様々なモノを創造して生活を送って行く物語。

 とりあえず、インベントリなる収納スペースの能力がチートでした。どんなものでも大きさに関係なく鮮度を保って保存出来る、収納容量が無限(今の所限界が存在しない)、中で解体や調理や素材加工などが制限なく自由自在、などなど。日常生活と生産職的には最強能力だと思います。

 一方、冒険者としての魔物討伐依頼などには極めて不向きで、ミヤビ自身にも戦闘能力はあまりない。パートナーを組んだリズもまだ中級レベルの域なので、ごりごりの力押しチート無双にはならない所が特徴的でした。

 雰囲気としては、スローライフと冒険者活動の中間みたいな感じでしょうかね。ミヤビのクラフト生活も、多分これからどんどん発展して行くと思うので、生産職としての活躍に期待したい所です。

その門番、最強につき ~追放された防御力9999の戦士、王都の門番として無双する~

[著者:友橋かめつ/イラスト:へいろー/Mノベルス]

 敵からの攻撃を全て受けるターゲットの役割を忠実にこなしてたいのに、「ただぼーっと突っ立ってるだけだ」と一方的にパーティから追放された主人公ジーク。ギルドの紹介で『王都の門番』として衛兵の任務に就く中で、史上最強の盾としての能力の真価を存分に発揮して行く、追放ざま系なお話。

 ジークの能力特性を一言で表すなら『防御は最大の攻撃』でしょうかね。ただし、1対1の闘いだと圧倒的優位に立てるものの、1対多数の状況では防御一辺倒になり攻撃手段がなくて不利に陥る可能性もある。なので、ジークの存在が最大限に活きる状況ってのは、“役割分担が明確なパーティ内での連携時”なんですよね。

 そう言う状況を幾度か作って、最大効率でジークの見せ場を作っている。自分を守る為ではなく、仲間が攻撃し易いような状況を作ると同時に、完璧に守る為に戦う。強さを自覚して誰かの為に力を振るう、そんな所が凄くいいなと思わせてくれる存在でした。

勇者パーティーを追放された白魔導師、Sランク冒険者に拾われる ~この白魔導師が規格外すぎる~

[著者:水月穹/イラスト:DeeCHA/Mノベルス]

 主人公ロイドの支援職『白魔導』が役立たずだ、と判断された勇者に一方的に追放されるも、実はロイドが自覚していないだけで超有能スキル持ちの、追放ざまぁ系なお話。

 この超絶有能なスキルに長らく支えられていて気付かない勇者ってどんだけアホなの? 何でこんなのが世界四大勇者なの? 他でも大体追放する側ってこんなですけど、この物語は特に勇者称号を掲げてる割にあまりにあんまりだったもんで「うへぇ……」ってなってしまいましたとさ。

 ただ、一部メンバーは勇者に加担したのを悔いて、途中からロイドの支援に回ってくれていたので、それだけでもちょっとウンザリ気分も紛れたような気がしました。

 ロイドは自分の凄さに気付けていない『無自覚卑下野郎』です。こっちも「いい加減自分の有能さに気付け!」と言いたくなりましたけど。S級ランクの仲間達が何を言っても自信持てないでいるので、まあしばらくこの無自覚さは直らないと思います。

門外不出の最強ルーン魔術師 ~追放されたので隣国の王女と自由に生きます~

[著者:消し炭/イラスト:こちも/BKブックス]

 ルーン魔術師とは、人やモノに術式を刻む事で様々な効果を発揮させる能力を持つ存在の事。主人公ヴァンは、ルーン魔術師としての真価を見出せない愚かな連中に、無能の烙印を押されて一方的に追放されてしまう。

 自分のルーン魔術は時代遅れと勘違いし、自身の能力値を過小評価するこの無自覚有能系主人公は、自由に身になった事で無自覚なままルーン魔術の超絶能力を拡散させて行く事になります。まあ追放ざまぁ系ですね。

 この物語の特徴的な部分はヴァンが扱うルーン魔術。自分自身が俺つえー無双になるのではなく、他者に俺つえー無双状態を与える、みたいな完全支援系な役割です。実際攻撃的な面ではヴァンが弱いので、主人公がこう言った支援徹底な扱いなのはちょっと面白いなあと思いました。

 それにしても、ヴァンを追放した王国って、主犯の女王は無能クズ過ぎて「一国のトップがこんなんでいいのか?」だったし、ヴァン一人が抜けただけで国の情勢が急速に悪化して傾くってどうなの? とか、クズ相手に余計な心配ばかりしてしまいました。

虐げられた幼女、スキル進化で万能聖女になりました! ~最強賢者に拾われて今度こそ幸せ街道まっしぐら~

[著者:古森きり/イラスト:m/g/ベリーズファンタジー]

 前世で既婚者OLだった主人公アミア、人生に疲れ果てて半ば自殺のような自殺電車事故に合い異世界転生。転生先は没落貴族で虐待受ける8歳幼女。奴隷商人に売られる寸前で、謎多き青年に救われ保護され新たな人生を歩みながら、眠っていた真の能力を覚醒させて行く、と言うお話。

 今回で限って言えば、アミアの超絶能力はまだ発展途上で、ようやく終盤まで来て規格外の片鱗を見せ始めたような感じでした。本当のチートは、アミアを保護した“もふもふ”こと幻獣ケルベロスのチトセ。彼は異世界渡航者かつこの世界の理から外れた存在で、誇張ではなく神のように万能です。

 何故アミアを保護したかと言えば……何ででしょうね? 改めて考えると明確な理由は特に無かったような……内に眠る力の強大さを感じ取って、「これは野放しに出来ない」と思ったのかも知れません。

 スキル進化の本領はまだこれから、聖女にもまだなり立て、帝国の学校への入学もまだこれから。話が盛り上がって行くのはここからだと思うんですが、どうも続刊無いみたいで残念……。