SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

エロマンガ先生8 和泉マサムネの休日

[著者:伏見つかさ/イラスト:かんざきひろ/電撃文庫]

 やはりと言うかなんと言うか……和泉狭霧は想像以上に超絶めんどくせぇ女の子でした、と。狭霧視点での一人称独白は多分初めてだったんじゃないかなあ。

 とにかくマサムネに対して露骨に本音を隠して曖昧に濁す癖があり、そのせいで本人から確証が得られないと言うじれったい手応えがずっと続いていたんですよね。

 そんな状況から、やっと! 遂に! 狭霧自身の言葉で『異性としてマサムネが好き』と伝えてもらえて、心はもう待ち望んていたがごとく「ひゃっほう!」って気分でした。

 今回は、エルフ先生にもムラマサ先輩にもマサムネとの補強エピソードがありましたが、それでも狭霧のマサムネを“落とす”破壊力は圧倒的に別格でした。

 これで互いに相思相愛なのは伝わったので、近しい人達に公表して正式に付き合うって形になるんでしょうかね。大体皆が認めていて、あまり大きな障害になりそうな要素もなさそうですが、さてどうなるか。

エロマンガ先生7 アニメで始まる同棲生活

[著者:伏見つかさ/イラスト:かんざきひろ/電撃文庫]

 アニメ化騒動の話。刊行当時、現実で本作もアニメ化企画が決定していたそうで、現実と創作の中での同時アニメ化進行ってのは、触れていて何となく奇妙と言うか不思議な感じがしましたねえ。

 アニメ化決定の際の『原作者の感情』と言うやつは、多分作者さんが体験している事の追体験のようなものをマサムネに課しているような気がして、そこら辺は非常にリアルな様子に感じたりしていました。

 まあ原作者がどれだけアニメ制作に関わるかによるとも思うんですけど、どうも「アニメ化決定!? やったぜえええーー!!」みたいな歓喜の気持ちだけでは収まらない部分もあるようで。

 嬉しいだけで済めば幸せなんでしょうけど、マサムネを見る限り活動限界ギリギリで一杯一杯になっちゃってるんで、肉体疲労も精神疲労もなかなか大変なのかなあと。

 ラストの狭霧の強制的な連れ込みは、果たしてそんなマサムネの忙し過ぎる現状にどう影響を及ぼすか。本音をぶつけて行動に移した狭霧の勇気が報われますように。

エロマンガ先生6 山田エルフちゃんと結婚すべき十の理由

[著者:伏見つかさ/イラスト:かんざきひろ/電撃文庫]

 「おいっ! マサムネ! 京香さんにそんな『依頼』押し付けてそんな『恰好』をさせてんじゃないよ!」の後に、「えええーっ! 京香さんその無茶振り案件受けちゃうの!? ええええーーーっ????」ってな具合でした。

 冷酷な仮面が剥がれて、甥っ子姪っ子を気遣う優しい叔母である京香さんの姿が見れたのは凄く良かったなと。彼女にとってはめちゃくちゃ災難でしたけど、それでもマサムネと狭霧を『家族として護る』強い気持ちが感じられたし、一時期不安になった関係性も今はなにも問題ないですよね。

 あとは、エルフ先生とムラマサ先輩の“本気の告白”がマサムネに突き付けられる内容で。マサムネが狭霧を好きだと言っても諦め切れないその思いは、これまでと本気度が桁違いで、だからこそどうしても報われないと分かり切っているのが苦しくて辛い所なんですよね。

 エルフとムラマサの性格的に、あまり落ち込む事なく表向きは前向きでいられている辺り、重苦しい雰囲気に陥らせず救われてるなって印象です。

 マサムネはこれを受けてはよ狭霧との事にケリをつけろ! と思ってしまうんですが、狭霧も肝心な所で日和ってしまうのでなかなかにめんどくさくて難しい。

エロマンガ先生5 和泉紗霧の初登校

[著者:伏見つかさ/イラスト:かんざきひろ/電撃文庫]

 マサムネいわく、「俺と狭霧の生活を引き裂くであろう敵」こと京香叔母さん登場。もう初期の頃から、マサムネの話の中で“匂わせ”的な雰囲気は感じてましたけど、いよいよ姿を見せて「攻めて来たぞ!」と言った具合。

 しかしながら、初っ端のイメージこそ『冷静・冷酷・冷徹』でいけ好かない敵対者のような京香さんだったけど、なんか徐々に「あれあれっ?」って感じでピンポイントで致命的にイメージが崩れ去ってましたよね。

 最後の方でエルフが京香の本質に触れていたように、『言動と感情の表現が非常に難解過ぎて、複雑で分かり難くて損をしている人』なんだと思う。

 まあマサムネの思わぬ不意打ちに激弱な部分もありそうで、これから付き合いが増せば、その分だけ京香の『本音』も見せてくれるようになるのかも知れませんね。

エロマンガ先生4 エロマンガ先生VSエロマンガ先生G

[著者:伏見つかさ/イラスト:かんざきひろ/電撃文庫]

 この物語って、『謎なキャラ』や『心の秘め事』を出して一旦は伏せておくものの、早期にあっさりタネ明かしをしてるよね。マサムネの思いとか着物少女=ムラマサ先輩の事とか。

 今回の『エロマンガ先生グレート』とか言うやつも例にもれずで、アルミちゃんなる新キャラは「そんな関係性に繋がって行くのね」って感じでした。

 本題はその先で、まあ『エロマンガ先生の名前を賭けての勝負』も、狭霧の勝ちは揺るがないんじゃないかなあと思ってましたけど、勝敗を超えて色んな価値をそれぞれに得られたのが良かったのかなあと。

 後半の方は、マサムネと狭霧の恋愛関係としてはともかく、兄妹家族関係としては割と良い方向へ進んでいるんじゃないかな、って雰囲気を感じられる内容でしたよね。