SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

エロマンガ先生13 エロマンガフェスティバル

[著者:伏見つかさ/イラスト:かんざきひろ/電撃文庫]

 現在を歩みながら過去を振り返り、過去を思い返し胸に抱き現在から未来へと歩みを進めて行く。これまでの総まとめ的な雰囲気は、もうすぐ終わるんだなって寂しさと、同時に初期の頃から見違えるほど逞しくなったマサムネと狭霧に頼もしさを抱かせてくれた内容でした。

 前巻でエルフの処遇に関して「ないわー」って愚痴って、その気持ちは変わらなくて最後にうやむやなままなのもモヤモヤなんですけど。それでも、暫し苦い気持ちを忘れさせてくれる程に素晴らしく綺麗にまとまってくれた結末だったな、と思いました。

 『狭霧と一緒にアニメ放映第一話のリアル視聴をする』『狭霧が新学期に自力で歩んで学校へ登校する』『マサムネと狭霧と京香で家族の墓参りに行く』『アニメ企画が最後の最後まで大成功を収める』。全部叶ってくれましたね。

エロマンガ先生12 山田エルフちゃん逆転勝利の巻

[著者:伏見つかさ/イラスト:かんざきひろ/電撃文庫]

 え、どう言う事? いや、ホント、どう言う事? 意味が分からん。まるで、エルフ先生の思いの行き場に困った挙句の果てに、どうにもならずヤケクソになって放り投げちゃったようにしか見えなかったんですけど。

 エルフの性格らしいと言っちゃ物凄く“らしく”はあるんですけど……でもなあ、マサムネも狭霧も困惑の極みで、全然納得してないし受け入れてもいないじゃないですか。これは、あまりにエルフの“けじめのつけ方”がめちゃくちゃ過ぎません?

 ぶちまけて言うなら、『振っても振っても食らいついて離れない、諦めの悪過ぎるバカ女』としか思えなくて。なんでムラマサ先輩みたいに後腐れなくケリがつかなかったのかなあ。

 もう勝手にすればって感じなんですが、エルフの言い分が今後もまかり通って、マサムネと狭霧の間に割って来られちゃ堪んないよなあ。

 エルフ提案の合同同人誌制作によって、マサムネの創作意欲に新しく得るものがあったので、そこは実に面白い展開だっただけに、『逆転勝利』の実態とやらには心底ガッカリで残念。これからどう付き合って行くんだろうねえ。

エロマンガ先生11 妹たちのパジャマパーティ

[著者:伏見つかさ/イラスト:かんざきひろ/電撃文庫]

 マサムネがどれだけ『狭霧の事が世界で一番大好きで揺るがないから他人の好意は決して受け入れられない』と言っても、聞く耳持たずに横槍入れてちょっかいかけている人達。正直もうだいぶ面倒臭くなって来てる。

 ムラマサ先輩の友達とか、「なんで分かんねえかなあ」って気分だったし、今更智恵を出されても報われない不憫さが増すばだけだったし。この辺、聞き入れの悪さにかなりイラっとなってました。

 が、それでもマサムネに“新たな気付き”を与えてくれる人もいるから侮れないんだよなあ。今回で言うなら、めぐみとか真希奈の友達な人とか。こう言う人達は、マサムネと狭霧の付き合い方の本質とか問題点をちゃんと理解してくれているから、マサムネ自身も感じているようにとても有難い存在だと思う。

 で、このラストに来て忘れかけていたあんたの登場か。今更感があるようなないような……ただ、彼女も別の視点で気付きを与えてくれる存在だと思いたいですね。

エロマンガ先生10 千寿ムラマサと恋の文化祭

[著者:伏見つかさ/イラスト:かんざきひろ/電撃文庫]

 ムラマサ先輩自身が紡ぐ、ムラマサ先輩による、ムラマサ先輩の為だけのエピソード。「ラスボスはあなただったのか!?」的な強キャラ感を、マサムネと狭霧に対して存分に発揮してくれていました。

 興味深いなって思ったのは、ムラマサ先輩がマサムネへの恋心を全く引っ込めようとしないのに、その執着心が全然嫌な感じじゃない所でしょうかね。だからこそ、マサムネも純真で迫られると冷静ではいられなくて、非情に徹して突っぱねる事も出来ないんだろうなあと。

 それは見方によっては“甘さ”とも取れるのかも知れないけれど、その甘さを狭霧が容認していて、さらに彼女もムラマサ先輩の事を認めているから思いを知りつつ静観してるのかなと。

 最終的には、予想通りムラマサ先輩の好意とケリをつける展開の終盤戦。まあマサムネに関しては心変わりする心配は全くしていなかったので、興味はムラマサ先輩の気持ちがどう着地するかと言う部分にありました。個人的に結末としては大満足で、ムラマサ先輩にとっても納得出来る形でまとまってくれて良かったなと。

エロマンガ先生9 紗霧の新婚生活

[著者:伏見つかさ/イラスト:かんざきひろ/電撃文庫]

 もしかしたら、この物語の終着点って、マサムネと狭霧が抱く『夢』の“成就”なのかなあ、と。何となくその終着点を予感させるような、終わりが近い雰囲気を感じたりもしていたんですが果たしてどうか。

 と言うのも、マサムネが狭霧にプロポーズして、狭霧が受け入れて、もはや新婚生活同然な状況を見せ付けられてしまったら、「あとほかになんかやることある?」ってな具合で。

 相思相愛を確かめ合い、それをちゃんと周囲に伝えて、家族である京香さんにも受け入れてもらえて、アニメ制作も今の所順調。なので『アニメ完成&放映』以外は割と後悔なくやり尽くした感はあるのかなあと。

 あと話を広げるなら、まだ全く諦めてないエルフ先生とムラマサ先輩の事とか? この辺は、マサムネと狭霧の関係を脅かす懸念材料な気もするんですが、どうもそう簡単には引き下がりそうにない感じですよねえ(特にムラマサ先輩は)。