SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

雪蟷螂

[著者:紅玉いづき/イラスト:岩城拓郎/電撃文庫]★★

 何時の間にやら《人喰い物語》の《3部作》って括りになってたらしく。その最後を飾る“人喰い”エピソード。人外化物の類が出てこない分、これまでの物語に比べると人間対人間に焦点をぐっと絞って描かれていたのがとにかく印象的だった。愛憎の激情はあれど、そのどれもが触れたら壊れそうな儚さとか切なさとか、そういうどうしようもなく人間臭い生々しい魅力が凄く際立っていたかなぁと。

 惜しむらくは、最終的に主人公のアルテシアが蚊帳の外に追いやられちゃった事か。オウガと添い遂げるのが己の進むべき道じゃない、と気付けた結果なのかも知れないけど、出来れば冒頭の回想から彼女中心の“恋”をメインに広げて欲しかったな。