SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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公務員、中田忍の悪徳

[著者:立川浦々/イラスト:楝蛙/ガガガ文庫]

 第15回小学館ライトノベル大賞『優秀賞』受賞作。

 無愛想で仏頂面な公務員主人公・中田忍が、未知の異世界生命体『エルフ』と遭遇して、一体どんな行動を取るんだろうか? そんな疑問を抱きつつ、彼らしい常識外れな対処方法の数々を、ニヤニヤと眺めながら楽しむ物語なのかなと思いました。

 興味の大半を占めていたのは、中田忍と言う人間そのものでした。中田がどんな場面でどんな事を考え、どんな発言をしてどんな行動を起こしてみせてくれるのか。彼自身への興味は尽きませんでした。

 あとは、言葉の通じないコミュニケーション不能は実にもどかしいもんだなと。エルフ娘自体、そもそも終わった今でも正体が全く分かっていないせいか、意外に惹かれる要素が薄かったんですよね。

 まあエルフ娘の出自は気になる所ですが、現在の日本で中田達がどうこうやっても、何も得られない気がする。どうにか言葉が通じれば、そこから新たな交流の道が開けるのかも知れませんが。

 結局は「とにかくやっぱり中田だなあ」に落ち着く。この人間性、かなり気に入ってます。知れば知る程クセになる。もっと深みにハマりたいので、エルフ娘との更なる交流を楽しみに待っていたいです。