SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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お茶屋さんは賢者見習い1

[著者:巴里の黒猫/イラスト:日下コウ/MFブックス]

 異世界転移した瞬間から、世界の四大精霊の加護を受けて『賢者』となってしまった主人公・リン。チート的な能力付与と言えるのか、な? 疑問符なのは、リン自身に精霊術能力を説教的に振るう意思がそもそもあまりないから。たとえ望まないのであっても、精霊達の方が勝手に好意を寄せて助けてくれる、といった具合なので。

 もの凄いんだけど、リンに脅威は感じない。でも、リンだって好かれている精霊達の事が好きだし、その気持ちが目一杯表れているから、精霊達もますます好きになる。精霊達が極端に好き過ぎて暴走しないだろうか、と心配になるくらいの好かれっぷりです。

 まあ、リンにとって一切悪影響はないのですけど。攻撃的な使用ではなく、常に『精霊術が誰かの役に立てればいい』と願い、その為に積極的に考え行動している。リンってそんな人で、物語も彼女に合わせるような穏やかで平和的な雰囲気に包まれています。

 リンを保護したライアンを始め、みんな好意的で良い人ばかり。明確な“敵”が(今の所は)存在しないので、安心感にひたりながら、リンと『異世界新発見』を楽しみながら読めていました。『お茶屋さんを開く』というリンの夢は、早くも実現に近付きつつあるようですが、どう展開して行くか楽しみです。