SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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極振り拒否して手探りスタート! 特化しないヒーラー、仲間と別れて旅に出る1

[著者:刻一/イラスト:MIYA*KI/ドラゴンノベルス]

 異世界側の事情によって、強制的に異世界転生させられたっぽい? その『事情』みたいなものは断片的に垣間見れただけなので、何とも言えない手探り感覚でしたが。少なくとも好意的に懇願するような態度ではなく、「うまく利用してやろう」みたいな腹黒さや傲慢さがあった気がしました。

 とは言え、実は主人公のルークは異世界側の思惑から外れて、最初の集団転生をうまく回避しているんですけどね。この咄嗟の選択も含めて、ルークはかなり“自分の危機に対する直感”が働くようです。

 ゲームのように、強さの目安となる数値が全く分からない(あるいは現状見る手段がない)ので、自身の成長に関しては相当手探り感が強い。しかも異世界情報にも疎いため、行動の指針に関してもずっと手探り状態が続いている。そんな中で、「何だかハッキリしない事が多いけど“こうした方がいいのかも”」みたいな感覚は、かなり優れているなと思いました。そう言ったルークの直感は幾度となく発揮されています。

 この異世界について、行動範囲の狭さからまだまだルークには分からないことが多い。このまま安定した所に留まるのは「何か違う」と終盤で気付けたのも、直感からくるものだったのかも知れません。ルークのまだ知らない、『異世界側の思惑』と交わる時は果たして来るのかどうか。ルークが特別な存在だと言う事は把握されているようなので、どう行動するかにかかわらず、向こうから接触して来る可能性は高そうです。