SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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平民のくせに生意気な!

[著者:いのり。/イラスト:花ヶ田/GL文庫]

 『悪役令嬢』ことクレア様の視点で描かれる、『私の推しは悪役令嬢。』の外伝的な物語。描き方としては、全ての事が終わった後にクレアが“最初から順番に出来事を振り返る”みたいな感じでした。

 ちょっと意外だったのが、『一冊完結』ではなく『長編ストーリー』仕立てだった事。ちょうど本編一巻目と同じ展開のペースで次巻へ続いています。なので、もしかしたらこのままクレア主人公視点で5巻くらいまで行くのかも知れませんね。

 単なるレイの別視点ではなく、レイの視点からは見えていなかった事が、クレアの視点で初めて分かるような、そう言った仕掛けが結構ありました。例えば、レイにとってはただのクレアの〝取り巻き”に過ぎなかったロゼッタとピピの2人は、本作ではかなり重要な役どころで目立った行動も目を引きます。それからレイの側では多分全く存在感のなかった、クレアのルームメイトのカトリーヌなんかも、特にクレアに影響を及ぼす程の重要な役割を担っていたりとか。

 一度辿った物語ながら、今回からの新発見も色々あったりして、充分に楽しめる内容でした。これからどんどんクレアの意識に変化が生じて行くと思うので、彼女視点でより鮮明に感じられそうな所に期待感が高まります。

関連感想:『私の推しは悪役令嬢。』