SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

異世界転移、地雷付き。

[著者:いつきみずほ/イラスト:猫猫猫/ドラゴンノベルス]

 修学旅行中にバス事故でクラス全員死亡、からの異世界転移。いわゆる『クラス単位の集団転移』というやつです。

 ただ、転移先でも集団で行動して道を切り開いて行く……というわけではなく。前世で気の合ったいて相手数人同士が、それぞれバラバラに飛ばされて行動するような展開でした。幼なじみ三人組の、ナオ・ハルカ・トーヤが物語の中心として動いて行きます。

 物語の雰雰囲気を一言で表すなら、『地道』と『堅実』です。最初の状態は、チート能力はないけれどすぐに死ぬような危険はなく、とは言え早め早めに行動を起こさなければあっさり金が尽きて積む、みたいな感じ。とにかく『まず職を探して働かなければならない』所が、もの凄く現実的と言うか、金を稼ぐことの大変さと重要性を見せ付けられている気がしました。

 少しずつ確実に、“安定を目指して積み上げ気て行く”ような行動で、その辺りに良い意味での『地味さ』が感じられて面白いなと思いました。スキルレベルはあってもHP・MP・ステータス数値は一切なく、この部分も一風変わった仕組みで興味深い要素ですよね。明確な数値が見えないので試行錯誤でレベルアップを検証している、そんな三人の様子なども見ていて楽しいです。

 地道に生活の地盤を固め始めた所で、さて次はどう動く? ラストでハルカが提案を述べましたが、その意図する所は一体なんでしょうね。