SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

ウィザーズ・ブレイン

[著者:三枝零一/イラスト:純珪一/電撃文庫]

 『大切な人の命』を救う為に『大多数の命』を犠牲にするか、『大多数の命』を救う為に『大切な人の命』を手放すか。どちらか一方しか救えない“究極の選択”。最終的には犠牲となる人の選択を尊重する事になるわけですが、それでもどうしても「救いたい!」って強い思いでなりふり構わず突っ走る姿に、思わず熱いものが込み上げて来ました。

 どちらかしか選べない状況で、それでも『両方を救う』と言う“第三の選択”を模索し続けながら、絶望的な中で決して希望を失わずにもがきながら戦い続ける。正直、一時的にでも「人柱を立てないと神戸シティと多数の人口を救うのは無理だろう」って感じで、それでも錬と祐一達は最後の最後まで“第三の選択”を諦めておらず、最後の最後までフィアがどうなるか分かりませんでした。

 個人的には、続刊されるなら『フィアを救う為の物語』に発展するのかも……と思っていました。結末としては、それとはまたちょっと違っていましたけど。先の事を考えるとやるべき事は山積状態で気が重いですが、錬とフィアの物語としてはひとまずは「良かったな」って感じでしたね。