SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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勇者になれなかった三馬鹿トリオは、今日も男飯を拵える。

[著者:くろぬか/イラスト:TAPI岡/Mノベルス]

 一方的に王族から異世界召喚させられ、『無能』と判明したら一方的かつ強制的に“用なし”と追放される。いやあ、あまりに理不尽過ぎて言葉になりませんでしたよ。

 怒りが沸き上がる前に茫然としてしまって。いきなり初っ端から、異世界人に対してここまでの仕打ちってあまり見た事ない気がします。その点で強烈な出来事として頭に刻み込まれたのは、果たして良かったのか悪かったのか。

 しかしながら、気落ちして沈んで暗くなって負の感情にまみれる……みたいな雰囲気にはならないのがこの物語の面白い所で。主人公トリオの北山、西田、東の、「絶対にじめじめした陰気な雰囲気にはさせんぞ!」みたいな“超絶ポジティブ思考”が、強制的にでも明るい気分にさせてくれる。おかげで序盤の憤りなんぞ知らない内に吹っ飛んでました。

 三人とも性格は異なれど、前向きで困難に怯まず正義感が強くて豪快な所はとてもよく似ている。そんな彼らが繰り広げる、異世界を生き抜く為のサバイバル(ちょっと飯テロもあるよ)生活。やっぱり豪快で明るい雰囲気が絶えない様子が印象的で、凄く良かったですよね。