SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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召喚士が陰キャで何が悪い1

[著者:かみや/イラスト:comeo/HJ文庫]

 一体過去にどんな仕打ちを受けたら、こんな「パリピ陽キャ絶対悪!」思考な陰キャクソ野郎が出来上がるんだろう。……あ、主人公の透自身が『陰キャクソ野郎』だと自覚してるんで、そこを指摘するのは全く問題ないかと思います。

 現実世界で陰キャ、ゲーム世界のような『異世界』でも陰キャ、陽キャの心底からの好意や善意にも全力で絶対拒絶拒否な姿勢……潔く開き直り過ぎてなんか切なくて虚しくなって来る。まあいわゆる人間不信の一種なんではないかな、と感てたわけなんですけど。実は透は心の底で、否定している自分を誰かに認めてもらいたがっている。本気で頼られたり心配されたりする感情を向けられると、居心地悪く“むずむず”させているのは、その確かな証ですよね。

 この物語は、陰キャの透が自身の本音を認め、周囲の好意を受け入れ少しずつ変わって行く様子が一番の見所、と個人的には思いました。万が一にも、透の被害妄想が本当になって陽キャどもがだまして陥れていたら、もう感情がどうなってたか分かりませんでしたけどね。怜奈も悠真もめちゃくちゃいい人じゃないですか。

 信頼を実感した新たな交流から、さらに透の内面が良い方へ変わって行く所が見たいですね。あと、沁子(アッシマー)のメインヒロイン感が凄かったです。「え、この子なの?」って感じで。対して怜奈と透との関係も、今後の見所のひとつになるでしょうね。