SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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乙女ゲームのヒロインで最強サバイバル

[著者:春の日びより/イラスト:ひたきゆう/TOブックス]

 かなり変化球な『乙女ゲーム』モノ。ハッキリ言うと、『乙女ゲーム』と聞いて頭に浮かぶような“乙女ゲーム要素”はほとんどありません。まず、主人公アリアの立場が複雑で、ちょっと簡単には説明出来ない。一応『異世界転生』と『乙女ゲームの世界と設定』は存在していて、アリアも間違いなく乙女ゲームの主人公キャラです。

 ただ、元々アリア自身に自覚が一切無くて、彼女を殺してヒロインの立場を乗っ取ろうとした別の異世界転生者を返り討ちにして、そこから“体内に勝手に情報が流れて来て”初めて真相を知ったと言うわけです。いや、アリアの立場からすれば、なかなか理解するのが難儀な状況ですよねえ。そんな世界の根底の理解から始まって、「わけ分からん運命なんてクソ喰らえ」と自身の運命を蹴り飛ばして、『命を繋ぎ生き続けて強くなって行く』道を進む事になります。

 今の状況だと、イケメン攻略対象に囲まれて困りながらも充実した日常……みたいな事には絶対にならないと思います。雰囲気が殺伐としているし、アリアは暗殺者っぽい凄味をまとって乙女ゲームヒロインの真逆を突き進んでるし。まあでも、これはこれで凄く面白いんですけどね。この中で乙女ゲーム要素の入る余地が果たしてあるのかどうか、ちょっと気にしつつ注目してみたいです。