SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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きみの世界に、青が鳴る

[著者:河野裕/イラスト:越島はぐ/新潮文庫nex]

 階段島シリーズ最終巻。特に印象深かった、七草と由宇の終盤の対話について。個人的には非常に抽象度の高い描写に感じられて、自分なりに解釈して理解して納得させるのが正直かなり難しかったです。だって、どっちも『本当に捨てたのはこれだ』とキッパリ言ってくれないんだもんなあ……と、つい愚痴やら不満やらも漏らしたりしてました。

 でも、もしかしたら二人にとっては、『明確なんだけど言葉に出すのは難しい』とか『声に出して言葉にしたくない』だとか、捻くれた物言いをしそうな気持ちを抱いてたのかなあ、なんて思ったりましました。

 あと、たとえ分かっていたとしても、あえて結論を先延ばしにするような部分を、二人の会話に乗せて意図的に演出していたのかなあ、とか。

 実際の所、終わってみて何が変わったかと言えば、案外劇的に変わった風ではなく、何となく時の流れに身をまかせてなるようになった、と言った印象。

 最初に由宇が七草に発した『なんで別れたあの時に笑っていたの?』に対しては、七草は自分の中でハッキリと答えが出せていたようでした。

既刊感想:いなくなれ、群青
     その白さえ嘘だとしても
     汚れた赤を恋と呼ぶんだ
     凶器は壊れた黒の叫び
     夜空の呪いに色はない