SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

凶器は壊れた黒の叫び

[著者:河野裕/イラスト:越島はぐ/新潮文庫nex]

 階段島シリーズ第4巻。根本的な疑問で、「そもそも『魔女』って一体何なのか?」について。『自分だけの世界を作り、その世界では何でも出来る万能の存在』『能力自体は継承されるものであるらしい』と、把握出来たのはそのくらいでした。

 大元の始祖的な話とかは特になくて、万能感についても『魔女はそう言うもの』と固定されているので、そこら辺はもう深く掘っても見えて来ないのかも。ただ、役割や精神的な負担や重みなどは、結構ハッキリ見えてきたかなあと言った感触です。

 今回は、魔女の詳細と共に、階段島の成り立ちの謎について大体が語られていました。それと、七草や由宇が現実世界と接点を近付けたりしていた影響で、両世界の境界線もかなり薄くなって来た気がします。『捨てたもの』もかなり明確になっていて、でも見え易くなったからこそ、どう向き合うべきかに葛藤する事も多かったようです。

 誰もが拾って受け入れようとするのか、その場合階段島はどうなるのか、消滅するのか残るのか、何が最適で何が悪手なのか……悩みや迷いが増すに連れて、妙に息苦しい閉塞感も増しているように感じられました。

既刊感想:いなくなれ、群青
     その白さえ嘘だとしても
     汚れた赤を恋と呼ぶんだ