[著者:雨穴/飛鳥新社]
『11の家の間取り』が11個の“パズルのピース”で、それらを繋ぎ合わせて完成した『一枚絵』が“繋がりの真相”と表現すれば、物語の全体図をイメージし易いのかも。
11の家の間取りが描かれた時期も、家が建てられた時の状況も、それらの物件に関わった人物達が抱える事情も、表面上はバラバラで接点がないように見えて、より深く事実を追求して行くとあちこちに『隠れた接点』が浮き彫りになって来る。
ひとつひとつ間取りを追って行くごとに得られる“気付き”の感覚が実に心地良い気分にさせてくれて、更に「収束した先にはどんな真相があるのか?」と言うワクワク感が最後の最後まで尽きる事なく、むさぼるように読み切ってしまいました。
あくまで筆者と栗原による『ヒントを元に仮説を積み上げての解釈』なので、彼らが導き出して辿り着いた真相が真実であるかどうかは分からないし、完璧に明確にするのも多分難しいと思う。
でも、真実であろうがなかろうがそんな事は別にどうでも良くて、ある終着点まで辿り着けた二人の驚異的な思考を称賛しながら「面白かった~!」と満足出来たから、もうそれだけで充分なのかなと。