SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

究極進化したフルダイブRPGが現実よりもクソゲーだったら

[著者:土日月/イラスト:よう太/MF文庫J]★★★

フルダイブRPGが『古臭いゲーム』になり果てた時代
 他のフルダイブ型RPGモノとは一線を画す、頭のネジが何本も吹っ飛んだ、相当にイカレた内容に衝撃が走りました。既にその手のジャンルが『衰退し始めている』世界の、『時代遅れのゲーム』って設定で、現状誰もやらないゲームを、主人公のヒロが何故か無理矢理やらされる所から始まります。

あえてリアルの苦行を自らゲームに求めに行く行為
 何がイカレているか? 全部です。特に現実に忠実過ぎて、『現実よりも現実をゲーム世界で体感出来る』とか、最早意味不明でしょ。でも、そのリアル過ぎる理不尽さ、生き難さの描写が本当に笑えて面白い。どこまでヒロがこのクソゲーに耐えられるか、完全攻略までやるのか、せめて始まりの町を脱出出来るかどうか、続きが非常に楽しみ。

落ちこぼれ天才竜医と白衣のヒナたち

[著者:林星悟/イラスト:肋兵器/MF文庫J]★★

人間と竜の共存関係が安定した世界の医療
 『竜』と呼ばれる存在が、人間の生活圏に当たり前のように寄り添う。そんな竜にも様々な『病気』があり、しかし竜達自身にそれは治療出来ない。その為、隣に寄り添う人間達が竜の生態を学び、理解を重ね、救い共存する世界を作り上げている。そんな特殊な医療に携わる若き『竜医』と、彼に師事する『竜医見習い』達のお話です。

現場の子供達と、育成役の大人達
 竜が警戒する大人は手が出せない。だから、警戒を抱かない十代半ばまでの少年少女達に『竜医』を託すしかない。後方から見守るしかない大人は、大分もどかしい状況。でも、元々の『竜医』達が引退→後継者達を育成する、この循環が確立されているので、相手が竜でも安心感を抱いて見ていられますよね。

いつか僕らが消えても、この物語が先輩の本棚にあったなら

[著者:永菜葉一/イラスト:なび/MF文庫J]★★★

小説家になりなさい
 例えば。突然道端で見ず知らずの人に、「あなたは小説家の才能があるから物語を書きなさい」と言われたら。そして「一緒に小説家への道を歩みましょう」と手を差し伸べられたら、どうします? 自分だったら全力で逃げる。たとえその瞬間どんな境遇にあったとしても、絶対に二度と関わりたくないと思うはず。でも、そうはならず、その手を縋るように掴んじゃった人が居る。そんな人が、狭き門の『小説家デビュー』をがむしゃらに目指すお話。

行動を越さなければ実現0%
 正直、そんな簡単でも甘くもないって冷めた目で見てました。ごめんなさい。ただ、行動すれば0%ではなくなる、そんな意気込みで全力で邁進する、『絶対になる』熱量は物凄く伝わって来ました。

異世界はジョーカーに微笑んだ。

[著者:赤月カケヤ/イラスト:かかげ/MF文庫J]★★

本人だけが『必要悪』とは欠片も思っていない
 世の中の悪逆非道なクズ共を惨殺する事を趣味としている。ジョーカーの心の底の感情がまだ見えていないので、今の所はそれを事実として受け入れるしかない。まあクズの絶望する姿を見たいが為に、活き活きと楽しんで殺っているのは間違いない。

その関係は主従ではなく相棒のような
 目的達成の為なら、誰が犠牲になっても構わない。躊躇わずに切って見捨てる。ジョーカーの基本はそんな姿勢。ただ、結奈が『本気で救って欲しい』と懇願している相手に対しては、ほぼ犠牲を出さずに救っている気がする。「全く助ける気なんぞない」と冷たくあしらっておきながら、実際には完璧な冷酷無情なわけではない。常に結奈をぞんざいに扱っている風でも、認めている部分はあるのかな。

異世界、襲来02 王の帰還

[著者:丈月城/イラスト:しらび/MF文庫J]★★

大魔術師達の遊戯
 異世界の大魔術師達。装着者三号としてのユウと交戦した感じでは、地球侵略を戯れか退屈しのぎかゲーム感覚か、そんな風にこなしているようにも見えました。軽く殲滅出来る程の戦力はありそうなのに、あえて自分達にハンデを課して本気を出さずに楽しんでいるような……まあ異世界人達の意図や心理などは、現状大して読めないのですが。

ほんの少しだけの気持ちの前進
 少しだけ、ユウに『装着者三号として戦う』意思が芽生え始める。ただ、今は近しい大事な人達を護りたい一心で決意が固まっただけ。全国民を護るとなると、ユウが背負うにはまだ重い。本来は戦いに消極的な性格なので、異世界との戦いが激化するに連れて、どう心境が動いて行くか気になる所です。

既刊感想:01