SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

終焉ノ花嫁

[著者:綾里けいし/イラスト:村カルキ/MF文庫J]★★

心の片隅に引っ掛かる何か
 主人公カグロ・コウの存在と、初期段階から彼の中で起こっている『何か』について。特殊な生徒達と【キヘイ】との共存や、彼ら彼女らが在籍する特別なチームの事が描かれて行く中、更に特殊なコウに何か秘密めいた匂いを感じさせる。ここが非常に気になって来るんですよね。章ごとの冒頭に現れる『謎の女性』の存在と共に、終盤の種明かしまで、グイッと興味を引っ張られるような感じでした。

本当の始まりは、コウが目指した更にその先に
 コウが何となく思い出せない断片的な記憶の欠片。この謎が解かれ、彼と白姫に起こっている真相が明かされた後は、一気に波が押し寄せて来るような怒涛の展開。いや、今後の方向性が予想外な所に向いたのも含めて、最初から色々と濃い内容でしたね。

小悪魔だけど恋愛音痴なセンパイが今日も可愛い1

[著者:遊歩新夢/イラスト:ひつじたかこ/オーバーラップ文庫]★★

孤高を貫くか、調和を取るか
 多人数の中に、飛び抜けた『天才』がたったひとりだけ。この状況で何らかのチームを組んで、天才の存在が全体を良い方向へ導いてくれるか、それとも調和を乱す異物と弾き出されてしまうか。その『何らか』の内容にもよるでしょうけど、本人の全力全開の能力が噛み合ってくれないのは、その人自身には何の非も無い分だけ余計にやり切れない。

才能は引き寄せ合う
 能力が突出しているだけに、本気で望めば余計に調和を崩してしまう。逆に調和を保とうとすれば、個の全力を抑えなければならない。これだと、望み通りの活動は出来ないので身を引くしかない。そんな同じ苦悩を持った彼等が出逢い、結成された新たなカルテット。これからの成長と飛躍が楽しみですね。

TRPGプレイヤーが異世界で最強ビルドを目指す2 ~ヘンダーソン氏の福音を~

[著者:Schuld/イラスト:ランサネ/オーバーラップ文庫]★★

じっくり育成しているような感覚
 話の進みはスローテンポ。その分、少年期のエーリヒを丁寧に描いているとも言える。常にTRPGの要素を照らし合わせつつ思考を巡らせている為、エーリヒを『キャラクターメイキングしている』風にも見える。まだ12歳の身なので構築段階ですが、長命種のアグリッピナに仕える事で、エーリヒの成長の方向性も少しずつ見え始めて来たかなと。

軌道修正不可能状態に陥らない為に
 選択肢によっては全く違った展開になり得る可能性を示していた、終盤の『もしも』の展開。なかなかに興味深い内容でした。まさかあの選択がこう影響するのか……って具合で。思い描く道から足を踏み外さない為には、たとえ歩みが遅くとも確実に、慎重過ぎるくらいでもいいのかも知れませんね。

既刊感想:

友人キャラの俺がモテまくるわけないだろ? 3

[著者:世界一/イラスト:長部トム/オーバーラップ文庫]★★

葉咲夏奈は一歩も引かないどころかグイグイ来る
 優児に告白を断られた夏奈、全く諦めようとしない。冬華とは恋人同士と認識している筈だけど、無意識の内に『ニセモノの恋人同士』の雰囲気を察しているんだろうか? もし優児と冬華が本当に恋人同士で成立していたら、夏奈の態度ってめちゃくちゃ諦めが悪くで印象良くないもんなあ。冬華が強気で夏奈の介入を断固拒否出来ないのも、優児が物理的急接近を許してしまうのも、現状仕方ない所か。

真桐千秋先生のターン
 真桐先生、優児と個人的な距離の詰め方が大分怪しかったので、結果的にそうなるよな~って感じでした。大人な女性なので迂闊な事はやらないと思いますが。ただ、正直冬華と夏奈と比べて、今はあまり想いが成就し無さそうな感じなのは切ないなあ。

既刊感想:

死神に育てられた少女は漆黒の剣を胸に抱くV

[著者:彩峰舞人/イラスト:シエラ/オーバーラップ文庫]★★

敵の敵は味方の共闘戦線
 神国メキアとの共闘体制で帝国を討つ。とは言っても手を組む関係は一時的なもので、神国とソフィティーアに全てを支配統治する意思がある以上、いずれ王国とも敵対関係になる可能性は充分にある。帝国との戦争に決着が付くまでは、まだ今回みたく(表向きは)穏やかに交渉する程度でしょうけど。何せソフィティーアはオリビア獲得に異様な執着心を抱いているので、今後自分のモノにする為に何を仕掛けて来るか分からない所が恐いんですよね。

帝国との最終決戦
 劣勢とは言え、帝国がそう簡単に追い詰められて白旗を上げるとは思えない。オリビアとフェリックスの勝敗次第か、それとも宰相ダルメスを操っている死神の介入が戦況に変化を及ぼすか。いずれにしても、次で何らかの明確な決着が付きそうです。

既刊感想:IIIIIIV