SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

ティアムーン帝国物語VI ~断頭台から始まる、姫の転生逆転ストーリー~

[著者:餅月望/イラスト:Gilse/TOブックス]

 「どんだけキノコが好きなんだよっ!」と思わず突っ込まずにはいられなかった、異様なまでのミーアのこのキノコへの執着心は一体何なんでしょうかね。

 食べずして既にキノコの毒に呪われている、みたいな食い付きっぷりで、今回はキノコの印象だけで終わってしまうのか……とか、中盤までは本気で話の行方を心配してましたよ。

 まあ『ミーア皇女伝』の予言通りに暗殺事件が起こってからは、一気に話が核心へと近付き引き締まってくれましたけどね。

 最後の方は、もうミーアの『自分ファースト』による“幸運の連鎖が大暴れで、周囲の勘違いでミーアの好感度が爆上がり、ミーアは全く意図してなくて焦る様子が今回は特に猛威を振るってました。

 しかしながら、ちょっとの失言が破滅を導く状況で、頭をフル回転させて最良の落としどころを示してみせる所は、紛れもなくミーア自身の才覚なのかなと思いました。

既刊感想:IIIIIIV

ティアムーン帝国物語V ~断頭台から始まる、姫の転生逆転ストーリー~

[著者:餅月望/イラスト:Gilse/TOブックス]

 今回、競馬の話しか印象に残ってねえ。何で競馬展開にこんな力入れてるんですか? みたいな。ミーアの初期の目的を見失いつつ、何故か「どうしてこうなった?」的な話の流れになってました、いや、まあ結局は面白かったんですけどね。

 本来の目的に視線を戻すと、『ミーア皇女伝』の内容が変化していた事がきっかけで、もう「またか!」って感じなんですけど。それが近々開催される『聖夜祭』で暗殺される、と記述されていたから穏やかじゃない。

 最近、『混沌の蛇』なる暗殺組織、四大公爵家の潜む対帝国思想の内通者、初代皇帝時代の暗部、大飢饉の予兆、などの伏線が色々浮かび上がって来ていて、どの場面でも目が離せない緊張した状況になりつつある。ミーアの暗殺についてはまだ謎のままですが、何かの事柄や思惑が複雑に絡み付いていそうな気もします。

既刊感想:IIIIIIV

ティアムーン帝国物語IV ~断頭台から始まる、姫の転生逆転ストーリー~

[著者:餅月望/イラスト:Gilse/TOブックス]

 ミーアがラフィーナとの選挙戦に挑めば、崩壊する帝国の未来は回避出来るんじゃなかたっけ? でも、ベルがまだ現在に留まっていると言う事は、危機回避は出来ていない? どうなんだろ?

 未来の事なので結果は見通せないんですが、『ミーア皇女伝』の“内容変化”を信じる限りでは、ラフィーナが絡んだ崩壊のきっかけに関しては回避出来たっぽいのかなあ。

 ……とか、あれこれ考えさせられながら、今回の『ミーア学校設立危機問題』の流れを追っていました。まあ、最早ミーアの自分ファーストによる幸運の引き寄せの法則には何も言うまい、と言った感じ。

 今回思い知らされたのは、ミーアのどんな逆境にも折れない精神の背景には、断頭台に立たされ処刑された経験が強く根付いていると言う事で。ちょっとやそっとの危機では動じないのも納得です。

既刊感想:IIIII

ティアムーン帝国物語III ~断頭台から始まる、姫の転生逆転ストーリー~

[著者:餅月望/イラスト:Gilse/TOブックス]

 自分(ミーア)の『孫娘』が未来からタイムスリップでやって来た、と言われたら通常は素性を怪しむとか嘘を疑がうだとかしそうなもんだけど、自分が“あり得ないはずの転生”を体験しているもんだから受け入れが素早い。

 まあそれでも最初は驚愕していて、正確には受け入れる以外に何も思い浮かばなかったポンコツ皇女な状態でしたが、孫娘ミーアベルの話から信憑性は高いと感じた模様。

 そして一難去ってまた一難で、相変わらずミーアの逃げ癖な本性とは裏腹に評価がうなぎ上りな『幸運の連鎖』を発揮していて見応えも充分でした。

 『ミーア皇女伝』なる書物の一部がころころ変化しているのは見過ごせない所で、今回は『ミーア学校』と『小麦の新種』が未来危機回避の鍵となるようで次巻へ続くといった具合です。

既刊感想:II

ティアムーン帝国物語II ~断頭台から始まる、姫の転生逆転ストーリー~

[著者:餅月望/イラスト:Gilse/TOブックス]

 『帝国の叡智』ではない。無知でアホな子が“自分ファースト”で行動した結果、たまたま、運よく、奇跡的に、『幸運の無限連鎖』的なものが作用してうまく行っただけの話。

 いや、別にけなしているわけではないんですが……幸運に救われているように見えて、実際には何か見えない力的なものがミーアに働いてるのでは……と思ったりもして。

 とは言っても、それだけじゃミーアのこの大快挙には説明のつかない何かも感じられて、『人を惹き付ける』魅力が成功を引き寄せてくれたのかなあ、なんて見えたりもしました。

 そんな中でひとつ確かに言える事は、断頭台で処刑された時の『覚悟』を、ミーアは実際の『経験』として心に持ち合わせていると言う事。生半可な事では動じない胆力と、土壇場での最適な決断力は確かなものではないでしょうか。

既刊感想: