SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

私の推しは悪役令嬢。

[著者:いのり。 /イラスト:花ヶ田/GL文庫]

 乙女ゲームの世界に転生した主人公・レイが、ゲーム内の『悪役令嬢』クレアを激推しして大好きアピールを繰り広げる、イチャイチャ満載な百合物語。

 レイがクレアの度重なる意地悪にも動じない『超攻め』、クレアがいじめてもいじめても効かないレイに翻弄され続ける『逃げ受け』な役割です。

 前半が結構軽いノリなので、レイの積極さにクレアが徐々に落とされてゆく、みたいな同性恋愛のラブコメが中心に進むのかと思ってました。

 しかし、中盤以降で隣国との微妙な関係性や、自国の貴族階級と平民との対立状態が目立つようになり、政治や国の情勢が絡んだ緊張状態に発展したりもしました。

 意外と話の展開はシリアスで重い。それは国民の格差だけではなく、レイとクレアの関係性についても言える事で。

 レイがおちゃらけてクレアを弄ってイチャイチャしているように見えますが、心の底には複雑で奥深い思いが眠っているようにも感じられました。

 レイが勝負に勝ってクレアにした、「この先何が起こっても絶対に“諦めないで”」という頼み事。一体どんな意味があるのか、気になる所です。