［著者：いのり。／イラスト：花ヶ田／ＧＬ文庫］★
『ゲーム内異世界転生＆百合＆ファンタジー世界＆悪役令嬢モノ』の“皮を被った”○○でした（一応伏せておく）。いやあ、ビックリ仰天でしたね。最初の段階から、この真相に至るまでを想定して歩んでいたとしたら、ホントに凄いなと唸らされました。お見事すぎる伏線の大回収でした。
ちょっと核心に触れますが、レイがゲーム内のクレアを“最初から好きだった”事が大きな伏線だったんですよね。さらには、二人がみせつけまくりな『百合百合いちゃいちゃ』にも、考えも及ばないような深い意味が込められていたわけですよ。
国家レベルの政治問題から、魔族との交戦状態へと進みつつあった展開が、ぐるっと反転するかような、それほど衝撃的な展開でした。物語の真相が明かされてから、もう先が気になって気になって早く進みたくて仕方なくて、めちゃくちゃ引き込まれていました。
『魔王』の圧倒的な強さ、レイたちが何をどうやっても勝てそうにない絶望的な戦力差、最後の最後までどう決着がつくのか分からない緊張感。どの要素も、素晴らしい盛り上がりでした。
最後の書下ろし短編『あり得たかも知れない一日』もとても良かったです。結末を迎え、全てを知ったあとだからこそ、物凄く胸に突き刺さる。こんな現実だったらどれだけ幸せだったか……。
でも、たとえ穏やかだろうと優しいものであろうと、所詮夢は夢で甘い幻。受け入れながらも引き込まれず、しっかり前へ進む姿勢を取るレイとクレアを見て「二人らしいな」と、その姿がとてもまぶしく映りました。
