SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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現実でラブコメできないとだれが決めた?5

[著者:初鹿野創/イラスト:椎名くろ/ガガガ文庫]

 『メインヒロイン』の芽衣に惨敗した耕平の、覚悟と決意と運命の復帰戦……に辿り着くまでの準備編。

 蓄積された精神的ダメージの回復、とでも言うべきでしょうか。耕平にとって、徹底的に心の隙を突く芽衣の『攻撃』は、致命傷に近い“痛恨の一撃”だったもんで、まあ予想通りと言うか見事にヘタレやがりました。

 イキりまくって調子づいていたあの勢いは見る影もなく。耕平自身が信じていた、自分の意思の“根っこ”見たいな部分を一気にへし折られたようなもんですからね。立ち直りに時間が掛かるどころか、もう自力じゃ立ち直れなんじゃないか、とすら思わされる落ち込みぶりでした。

 ただ、「どんな日常的な振る舞いが自分にとっての正しさなのか?」と、散々もがいた時間は無駄ではなかったです。耕平があくまで『配役』として接していた人たち=知らず知らずに彼に影響を与えられた相手に助けられましたね。特に鳥沢・常葉と会話して立ち直る気付きを得たシーンは、とても印象的で良いものでした。

 そして忘れてならない彩乃の存在。もしかして、メインヒロインに昇格……? そうなるかどうかは、次巻のお楽しみ。この一連の騒動の決着となる次巻で完結との事。心の底から色々な気持ちが「ぶわっ」と沸き立つような、そんな盛り上がりに期待したいです。

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