SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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現実でラブコメできないとだれが決めた?4

[著者:初鹿野創/イラスト:椎名くろ/ガガガ文庫]★

 耕平の作戦を完全崩壊へ導いた、『メインヒロイン』の芽衣。これまで含みのある異質さを匂わせていた彼女の、満を持してのメインエピソード。現在進行からさかのぼっての、中学生時代の頃の事。

 今の芽衣を見て、耕平への態度を見て、もう最初から既に崩壊する予感はありました。それを抱えながら芽衣の行為を追って行くのは、まあまあ精神的にきつくて、追い詰められ感が半端なかったです。

 個人的には朝陽の態度や意見に物凄く同調してたので、何とか途中で止まって欲しかったですけどね。ただ、そう思うと同時に、当時の芽衣は絶対に止まれなかっただろうな……とも思わされました。

 芽衣の中学時代の経験は、まるで現在の耕平の行為を見ているかのようでした。そこに芽衣は同族嫌悪を感じで、公平を陥れたくなったのかどうか。

 現実を嫌と言う程分からせた後に、自分と同じ過ちを犯しかけている耕平を“救ってあげたい”、そんな気持ちが芽衣にあったのかも知れません。それは、どうしても変えられない、芽衣の本質的な部分がそうさせてしまったのかも知れません。

 さて、主人公完全敗北の後で。まさかこれで終わりじゃないでしょう? 耕平よ。ラストで登場した人が、何らかの救いになるのかどうか。さすがにこのままでは後味が悪いので、ここから主人公の逆襲の逆転劇が見たいですよね。

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